七(16)
直秀は語り続けた。
「母上と大舘御前様の生き方はまことに見事でございました。わたしも母上の子であるからには、かくあらねばならぬと思ったのです。福島家再興の謀(はかりごと)がどのようになるかはまだわかりませぬ。しかし、もし、もしも止め難いようであれば、わたしが一身を以(もっ)て防ぎます。主家のため死するを恐れぬは武士の本分でございます。母上はさように教えてくださったではありませんか。わたしは母上が誇れる息子でありたいと存じます」
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