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社説

慰安婦問題 日韓の合意を歓迎する

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 日本と韓国が慰安婦問題を最終決着させることで合意した。四半世紀にわたって両国間に突き刺さってきたとげだ。戦後70年、日韓国交正常化50年という節目の年に合意できたことを歓迎したい。

 岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相が合意し、共同で記者発表した。日本が村山富市内閣時代に設立したアジア女性基金は韓国に受け入れられなかった。それを考えると、両国が知恵を出しあって合意に至ったことは画期的なことである。

 日本側は外相会談で慰安婦問題に関して「責任を痛感する」と表明した。日本はこれまで、1965年の日韓請求権協定で法的には解決済みだとして「道義的な責任」という表現にとどめてきた。

こじれた四半世紀

 一方で韓国は「反人道的な不法行為」である慰安婦問題は請求権協定で解決されていないという立場から「法的責任」を求めてきた。

 道義的か法的かを、あえて明確にしないことで双方が歩み寄り、決着につながった。

 日本政府が韓国の設立する財団に10億円を拠出する点も大きい。アジア女性基金は国民からの寄付金を軸にしたため韓国側が「政府の責任をごまかそうとしている」と反発した。公的な資金を出すことは政府の責任をより明確化させることになる。

 今回の合意について「最終的で不可逆的な解決」であることを確認したことは両国の信頼構築につながる。これにより、国連など国際社会での非難合戦という不毛な争いにも終止符が打たれるはずだ。

 慰安所が生まれ、定着したのは日中戦争の時期だ。兵士による強姦(ごうかん)事件の多発に頭を痛めた軍が業者に開設させた。軍は細かい規則を作って管理する一方、避妊具を支給したり、移動に便宜を図ったりしていた。

 貧困のために慰安婦とならざるを得なかった女性も多かったと言われる。93年の河野談話が指摘したように「意思に反して集められた事例が数多く」あったことは否定しがたい。慰安婦制度が女性の尊厳を踏みにじるものであることは明白だ。

 慰安婦問題が注目されたのは91年に初めて実名で証言する韓国人女性が現れてからだ。87年の民主化を機に日本の植民地支配の歴史を問い直そうとする機運が高まったことが背景にあった。経済や文化など多方面の交流が活発化する一方で、歴史認識を巡る摩擦は深まっていった。

 こうした流れを受けて、日本では村山談話やアジア女性基金によって和解を探ろうという動きが出た。

 しかし、安倍晋三首相はかつて河野談話見直しを公言していた。第1次政権だった2007年には、首相に近い政治家らが米紙に慰安婦問題に関する反論広告を出して米政界の反発を買い、日本を批判する米下院決議につながった。

 韓国側では、慰安婦問題での政府の不作為を「違憲」とした憲法裁判所の11年の決定が転機となった。時の李明博(イミョンバク)政権は慰安婦問題を対日外交の前面に出すようになった。13年に就任した朴槿恵(パククネ)大統領は慰安婦問題の進展がなければ日本との首脳会談に応じないという強硬姿勢を取るにいたった。

 合意の背景には、日韓共通の同盟国である米国から関係改善を求められていたことがある。それでなくとも日韓の連携は双方にとって自国の外交・安保政策に必須のものだ。

後戻りさせずに

 日韓両国内でも正常化以来最悪と言われる関係に「このままでいいのか」と懸念する声が出ていた。年間500万人が往来する両国関係が停滞したままでいいはずがなかった。

 合意を受けて安倍首相は「この問題を次の世代に決して引きずらせてはならない」と語った。朴大統領もその思いを共有しているはずだ。

 ただし、画期的な合意であっても不満を持つ人々は残る。そうした時に大局的見地から国内をまとめていくのが政治指導者の役割だ。

 韓国政府は、日本が強く問題視する在韓日本大使館前に建つ少女像の撤去にも前向きな姿勢を見せた。韓国で慰安婦問題の象徴になっているだけに簡単ではなかろう。真の和解につながる歴史的合意とするためには、まだ多くの作業が残っている。日韓両国が互いを信頼し、協力していかねばならない。

 日本は、解決策が最終的なものとなる確約を重視した。韓国政府が日本の対応をいったん評価してから、世論の反発を受けると一転して強硬姿勢に転じることを繰り返してきたという思いがあるからだ。アジア女性基金の取り組みを無視されたといういらだちもあった。

 ただ、問題を蒸し返してきたのは韓国側だけではない。政府間で前向きな動きがあっても、日本の政治家やメディアが植民地支配を正当化したり、元慰安婦を中傷したりしたことが、日韓関係をより複雑化させてきたことは事実だ。

 日本にとって韓国は最も重要な隣国である。外交はそもそも互いに譲り合わなければ成り立たない。今回の合意内容について、どちらが多く譲ったかの「勝ち負け論」に陥ることなく、日韓の新時代を切り開く基礎にすべきである。

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