【ローマ秋山信一】イスラム教シーア派指導者を処刑したサウジアラビアの強硬姿勢の背景には、内政と外交両面での計算がありそうだ。国内治安面の不安要因であるシーア派を締め付け、外交的に対立するイランを孤立させることを狙ったとみられる。
スンニ派の中でも厳格なワッハーブ派を国教とするサウジだが、東部を中心に国民の約15%はシーア派だ。政府はシーア派の信仰を黙認してきたが、シーア派に対する差別意識は色濃い。近年は特にシーア派住民の不満が高まっており、サウジ当局にとっては、過激派組織「イスラム国」(IS)などの過激派と同じ国内の不安要因となっている。
2011年には、民主化要求運動「アラブの春」に触発されてシーア派中心の反政府デモが発生した。イラン国営通信によると、処刑されたシーア派指導者ニムル師はデモへの支持を表明して注目された人物で、14年に「宗派対立をあおった」などとして死刑判決を言い渡された。
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