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くらしナビ・気象・防災

水害時の対応を地域で タイムラインで備え

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 昨年9月の関東・東北豪雨を教訓に、災害時の行動を事前に時系列で組み立てておく「タイムライン」が自治体の間で急速に広がっている。

 「タイムラインを使い、市が一体となって落ち着いて対応できたと思う」。鬼怒川流域の栃木県小山市防災対策課の町田光敏課長はこう話す。関東・東北豪雨では市内で1500棟以上が床上・床下浸水した。

 小山市は、市域に7河川あることから2014年夏、国土交通省ホームページに公開されている「簡易版」を参考にタイムラインを作った。河川の水位に応じた避難勧告や避難所開設、水防団への連絡などに活用している。台風が近づくたびに状況に合わせたタイムラインを市長に報告し、職員用パソコンで公開して共有しているという。

 茨城県結城市は「試作段階」のタイムラインを持っていたが、明確には活用できなかった。ただ、作成過程で国土交通省の河川事務所と打ち合わせしており、担当者は「信頼関係があったので情報のやりとりがスムーズだった」と振り返る。

 堤防決壊の現場となった常総市は未策定だった。高杉徹市長は毎日新聞の取材に「職員がどのような動きをすべきか事前に分かりやすく示せば、気持ちにも余裕が出るはず。豪雨の教訓の一つだ」と悔やんだ。復旧対応にめどがつけば、策定に着手する意向だ。

 東京の下町を流れる荒川。数カ所が氾濫すれば、下流域342万人が浸水被害を受けると想定され、関係者の危機感は強い。

 国や下流域の東京都足立区、北区、板橋区は14年8月からタイムライン策定に着手した。東京電力、NTT東日本、JR東日本などインフラを担う企業のほか、地域の福祉施設、特別支援学校も含む20機関37部局が参加し、昨年5月に試行案を作った。

 板橋区の特別養護老人ホーム「いずみの苑」の縣(あがた)久夫管理課長は「最初、タイムラインと聞いても何のことか全く分からなかったが、会議に参加して有効なものと知った。これまで地震や火事の訓練は月1回やっていたが、水害はやっていない。タイムラインのことを職員間で共有し、訓練を検討したい」と話す。

 試行案は関東・東北豪雨で早速、実行に移された。台風18号が接近すると想定される時間の120時間前から各機関が連絡を取り合い、荒川に大きな影響はないとのめどが立つまで関係者への周知や施設の点検を続けた。今後、当時の対応について検証会を開く予定だ。国交省荒川下流河川事務所の狩野豊総括地域防災調整官は「万全な対策をとるため、絶えず検討を続けなければいけない」と話す。

 国交省は、国管理の109水系で氾濫が起きた場合に浸水被害の可能性がある計730市区町村に対し、20年度末までの策定を呼びかけていた。だが、昨年夏の時点で策定済みは216にとどまる。しかもその多くはまだ「簡易版」だ。

 タイムラインに詳しいCeMI環境・防災研究所(東京都)の松尾一郎副所長は「ひな型に合わせて作成すれば済むものではない。実際にその土地でどんな災害が起こるのか、自治体や住民が実感しながら作らなければ実効性は薄い」と指摘する。【玉腰美那子】


 ■ことば

タイムライン(事前防災行動計画)

 災害発生の3〜5日程度前を起点に「いつ、誰が、何をするのか」を時間軸に沿って整理し、関係者で合意して文書化したもの。想定される防災業務をタイムラインに沿って現場に任せ、首長らは想定外の事態の対応に集中できるという利点もある。

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