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孤をいきる

6止 誰でも歓迎、常設サロン

南粕谷ハウスでくつろぐ利用者と石井久子事務局長(右)=愛知県知多市南粕谷で、西田真季子撮影
アズワンコミュニティ鈴鹿のコミュニティストアで夕食用の総菜を選ぶ吉田順一さん=三重県鈴鹿市で、鈴木敦子撮影

1人暮らしに貴重

 「今日は冷えるなあ」。伊勢湾に面する愛知県知多市。昨年12月中旬、南粕谷地区の住宅地にある常設型サロン「南粕谷ハウス」では、ともに妻を亡くしてから1人暮らしの小池鉄郎さん(80)と小久保勝司さん(82)がコーヒーを飲みながら話していた。2人はこのハウスで知り合い、ハウスでの人と触れ合う時間を日常の中で大切にしている。

 南粕谷ハウスはこの地域に住む人たちが独自に運営する。2013年に酒屋の店舗を改装して開所。オープンキッチン付きの広い1部屋で、平日の午前10時から午後3時まで誰でも入ることができ、地域のボランティアが作る食事も楽しめる。利用者は高齢者に限らず、子ども連れの母親らも。平日に地域の人を受け入れる常設サロンは全国的にも珍しいとされ、自治体が視察に訪れる。

 小池さんたちは、昼が近づくと、ボランティア手製の昼食を買い、テーブルで食べ始めた。おにぎりにみそ汁、おかず3品がついた「おにぎりセット」で300円。他にうどんや焼きそば、パン、ケーキも売られている。近所の人たちが食事をとっていたテーブルからは、笑い声が響き、室内が活気づいた。

 南粕谷は田畑が広がる地域だった。近くに旧新日本製鉄の社宅ができ、1970年代に、社宅を出たファミリー向け一戸建てが地区内に造られ、約2000世帯の住宅街としてにぎわった。

 だが、子どもたちが進学や就職で離れ、いまや地区の高齢化率は40%以上に。もともと地区外から移住した人が多く、お年寄りの孤立化が心配されていた。

 町内会活動も「高齢のため参加できない」という人が相次ぎ、孤立を防ぐ地域のつながりについて住民が話し合いを重ねた末、誰でも来られる常設サロンを設けることにした。同ハウス事務局長の石井久子さんは「毎日ふらっと来て、今日も開いているからお茶を飲もうと思ってもらえる『地域の居間』が理想」と話す。スタッフはボランティア。昼食販売などハウスの収益で必要経費を賄う。小池さんは親しみを込めて言う。「ここは1人暮らしには貴重な場。喫茶店と違い、1人で来ても知り合いがいて会話ができる」

助け合う市民団体

 家族がいてもいなくても、支え合える仕組みを築いた市民グループがある。

 三重県鈴鹿市の吉田順一さん(66)は一昨年の春、検査を受けた病院で、初期の喉頭がんを告知された。「手術の説明をするので、親族に来てもらってください」。病院からそう言われたものの、2度の離婚を経て約10年前から1人暮らし。母(90)と妹(64)は埼玉県に住み、簡単には頼めない。

 しかし、吉田さんは慌てずに向かいに住む船田武さん(71)、杏子さん(68)夫妻に依頼した。2人は付き添いを快諾し、手術同意書に署名してくれた。病院側も了承した。手術が終わり、目を覚ますと武さんがいた。「大丈夫?」と聞かれ、筆談で「大丈夫だよ」と返した。

 反対に、船田さんが長期で出掛ける際は、吉田さんに家の鍵を渡して飼い猫の世話を頼む仲だ。「1人暮らしでも不安は感じない。信頼できて気の合う友人がそばにいるから」と吉田さん。昨年11月には、未明に近所の竹本美代子さん(54)から「夫が『脚が痛くて眠れない』って」と電話を受け、車で病院まで送った。困った時はお互いさまだ。

 吉田さんと船田さん、竹本さんは、市民グループ「アズワンコミュニティ鈴鹿」に属している。2000年に教育研究者の小野雅司さん(54)が「持続可能な社会づくり」を目指して活動を始めた。明確な登録手続きはないが、小野さん主宰の研修に参加したなど、活動に共感した約80人が集う。小野さんは「コミュニティー全体が大きな家族のようなもの」といい、物や時間や手間を融通し合う。

 その一つが「コミュニティストア」。活動拠点の事務所内に食料品や日用品などを並べた部屋があり、メンバーなら、必要な物を申告して自由に持ち帰れる。資力に応じて毎月平均3万円程度を出し合っているという。

 小野さんによると、東日本大震災以降は「地域のつながり」を求めて視察に訪れる個人や団体が増えたという。

 小野さんは「普段から家族以外に頼れる存在がいるのは心強い。とはいえ全くの他人と助け合うことは現実的に難しい。信頼できる身近な人と『大きな家族』を作れれば安心して暮らしていける」と話している。=おわり

 この連載は、柴沼均、鈴木敦子、池乗有衣、西田真季子が担当しました。

地域の支え、高齢者うつ予防

 地域の人との支え合いが豊かであれば、うつ傾向の高齢者の割合は低くなる。高齢者に関する国内最大規模の社会調査研究プロジェクト「JAGES」(日本老年学的評価研究)の研究グループがこうした分析を公表した。

 高齢者のうつ傾向と、周囲からのサポートとの関連を調査しようと、全国29市町村の高齢者12万7041人のデータを分析した。その結果、市町村別に「心配事や愚痴を聞いてもらう人がいない」高齢者の割合をみると、2.3%〜6.7%、「聞いてあげる人がいない」高齢者の割合も5.4%〜9.5%と開きがあり、いずれも「いない」地域ほど、うつ割合が高くなることが分かった。

 また、家族や親戚以外の相手に限定し、「病気で寝込んだ時に世話や看病をしてくれる」「してあげる」割合が高い地域も、うつ割合が低かったという。

 高齢者の単独世帯はうつのリスク要因とされている。研究グループは「近隣の人や友人との接触機会を増やす環境整備が、高齢者のうつ予防に必要と考えられる」と結論付けている。

「アズワンコミュニティ鈴鹿」の詳細はhttp://as-one.main.jp/ac/。整備した鈴鹿市内の農園や里山で、誰でも参加できる自然体験イベントを開催している。

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