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幸せの学び

<その145> 淡路島で防災を伝える

全壊した自宅跡に立つ森康成さん​

 阪神地域と淡路島を激震が襲ってから21年の1月17日午前5時46分、元高校教師の森康成さん(66)=兵庫県淡路市=は今年も北淡震災記念公園の追悼行事に参加し、犠牲者の冥福を祈った。慰霊碑前では地元の高校生たちが黙とうをささげており、防災への思いを受け継ぐ新しい世代の姿に意を強くしたという。

     21年前、森さんの自宅は全壊し、周辺の家も壊滅状態となり、地面には10キロに及ぶ野島断層が出現した。4年後、勤め先の兵庫県立淡路高校に防災科目が開講された。「防災」を伝える必要性を痛感していた森さんの専門は英語だったが、2000年度から選択科目「防災と心のケア」も担当した。

     地元で震災の語り部に取材した生徒たちはビデオや紙芝居で発表し、被災者の体験に基づく災害劇を英語訳のビデオで海外に発信した。全校挙げた取り組みは05年末、全国の小中高大生らの優れた防災教育・活動を顕彰する「ぼうさい甲子園(1・17防災未来賞)」でナンバーワンの「グランプリ」と部門別の大賞に選ばれた。

     そんな森さんの熱意はどこから来るのだろうか。実はすんなりと教壇に立った人ではない。岡山大教育学部で社会科免許を取ったが、「将来の教師生活に体験を生かそう」と放浪の旅に出て、6年半かけてなんと140カ国を踏破している。

     シベリア鉄道でヨーロッパへ向かい、ヒッチハイクで南米などへ一人旅を続け、アフリカでは当時の独立国53カ国のうち49カ国を巡った。「1977年にルワンダで大噴火した火山の溶岩流の跡を歩き、足の裏が温かかったのを覚えています。世界の災害に関する防災の授業をしたとき、そんな体験が役立ちました」と振り返る。

     78年に帰国し、英会話学校講師を経て英語教師の免許を取った。養護学校で社会科を教えた後、高校の採用試験を受け、35歳で高校英語教諭に転身する。「言語の背後にある異文化を見る目を養う教材の開発を」と、淡路島から連絡船と2台の軽自動車を乗り継ぎ兵庫県内陸部の大学院に社会人学生として2時間半かけて通ったこともあった。

     退職後も震災記念公園で語り部を務める。昨年は活断層をテーマに開かれた国際シンポジウムの運営に携わり、淡路島の語り部たちと東北の被災地を訪ね、「松島、石巻、南三陸、女川で現地の語り部の話を聞き、充実した時間でした」とメールをくれた。そして年頭、「今年は防災教育の論文をまとめたい」と新たな目標を掲げた。【城島徹】

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