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「身じまい」のおと

キケロのいう「まろやか」な老年期=社会部編集委員・滝野隆浩 /東京

 年が明けてすぐ、祖母の墓参りをした。秋の彼岸には忙しくて行けず、ずっと気になっていた。妻が選んでくれた明るい色の花をたむけて手を合わせ、やっと気持ちが落ち着いた。

 祖母の記憶はたくさんあるのだが、最近ふと思い出したのが、「魚の小骨事件」である。小学生の私は、夕食のアジを食べて、のどに小骨が刺さっていることに気づく。指先を口に突っ込んでも抜けない。祖母がそばで「綿を割り箸に巻いて、くるくるせんね」と言った。私は聞こえないふりをして、ピンセットを持ち出したり、歯ブラシを使ったりした。最後に困って祖母に言われたようにやってみた。あれ不思議、小骨はあっけなく取れた。「ばあちゃん、ありがとー」と小声で言った。

 半世紀近く前の話である。あのころ年寄りは「知恵袋」だった。年を重ねた「経験」が尊敬された時代だった…

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