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詩歌の森へ

車谷長吉の遺稿句=酒井佐忠

 人間の偉さではなく愚かさを描く作家、車谷長吉は昨年5月、69歳で急逝した。文芸ジャンルに特異な才能を発揮した彼の、未発表の小説や単行本未収録の俳句、連句、インタビューなどを収めた『車谷長吉遺稿集・蟲息(ちゅうそく)山房から』(新書館)が刊行された。夫人で詩人の高橋順子が、押入れから発見した草稿や口述ノートなどからまとめた。「蟲息山房」とは2人が暮らした家の名だ。ここでは、俳句と連句を紹介する。

 2人は「駄木句会」と名付けて夫婦句会を不定期に長く続けていた。席題を三つ出して作る決まりで、昨年2月まで続いた。<紅梅や一心不乱に爪なめる><秋冷や妻が咳する茶の間かな><春炬燵をんななじられ笑ひ出す>など。いずれの句も謎めいた不思議な空間が現出する。「爪をなめ、咳をし、笑い出す」という人間の行為の愚かさ、面白さ。3年前の母の死には<母逝きて洟水(はなみず)すする寒の水>と詠んでいる。

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