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平松 洋子・評『世界を食べよう! 東京外国語大学の世界料理』
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異文化研究者三十人が語る食の多様性
◆『世界を食べよう! 東京外国語大学の世界料理』沼野恭子/編(東京外国語大学出版会/税抜き1800円)
なんと贅沢(ぜいたく)な一冊だろう。世界の食文化案内であり、食いしん坊を舌なめずりさせる読み物であり、旅のガイドであり、しかもレシピ付き。東アジアから始まってヨーロッパ、オセアニア、アフリカまでぐるり、いながらにして食卓の遊覧旅行だ。
本書のオリジナリティーは、三十人余の執筆者にある。東京外国語大学の異文化研究者たち。つね日頃から異文化と格闘している研究者が、精通する各国の歴史や文化を背景にしつつ、食をどう読み解くのか。“違いの際立つ”内容そのものが、おのずと食文化の多様性を物語るかっこうだ。編者、沼野恭子はロシア文学や比較文学の研究者として知られ、翻訳も多く手がける東京外国語大学教授である。
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