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幸せの学び

<その146> 最高齢ジャズ評論家=城島徹

お祝いの会で花束を受ける瀬川昌久さん

 ジャズ評論家、瀬川昌久さんの新著「瀬川昌久自選著作集1954〜2014 チャーリー・パーカーとビッグ・バンドと私」の出版記念と、ジャズやミュージカルの評論、普及の功績による文化庁長官表彰のお祝いの会が1月23日、東京都内で開かれた。スーツ姿で背筋をピンと伸ばす91歳の大御所に「これからも健筆を」と称賛の声が上がった。

     瀬川さんは1950年、富士銀行(現みずほ銀行)に入り、海外支店準備のため53年、ニューヨークの銀行に赴任を命じられ、暇を見つけてはマイルス・デイビス、デューク・エリントン、アート・ブレイキ−、カウント・ベイシーらの演奏を聴いて歩いた。

     53年9月26日のカーネギーホールでは、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、ビリー・ホリデイらの演奏や歌唱に触れている。そんな体験を緻密な記録と評論でつづった新著には、国会図書館で発掘された当時のリポートを含む評論や対談が500ページ余りに収められ、学術的な価値も高いと評判だ。

     音楽界はじめ各界からの150人を超える友人、知人に囲まれた瀬川さんは「マニアックで私の好きなことを書いています。ぜひ皆さんが夜に悩み事があって眠れない時に読んでくだされば必ず安眠できます」とユーモアを交えてあいさつ。

     若き日にジャズ評論を手がけていた音楽評論家の湯川れい子さんが「64年にニューヨークで初めてお会いしました。銀行で堅い仕事をしながら、難しいジャズを丹念に書かれてこられました。それにミュージカル、シャンソン、タカラヅカまで本当にお好きなんです。100歳のお仲間に入られても元気でご活躍を」と祝辞を述べた。

     新著で対談相手を務めた映画評論家の蓮実重彦・元東大学長もマイクを握り、「終戦にあたり日本の復員兵を無事に日本に届ける仕事をしてくださり、(横浜に帰港した氷川丸で)瀬川プロデュース第1号となるジャズ演奏が行われました」と功績をたたえた。

     私の隣の席にいた橋本徹・元富士銀行頭取は「瀬川さんは10歳年長で、仕事のできる先輩でしたが、ジャズ評論家とは最初知らなかったんですよ」と笑顔で振り返った。

     瀬川さんは学習院初等科から東大法学部まで三島由紀夫の同級生で、ニューヨークを訪ねた三島を「ウエストサイドストーリー」の初演に誘うなど興味深い交流ぶりを話してくれたことがあり、会場で私を呼び止めると、「戦争を知る世代として現在の政権が大変心配です。こんどその話をしましょう」と凜(りん)とした表情を見せた。【城島徹】

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