連載をフォロー 漫画で解説 ピロリ菌って何?の巻 2016年2月5日 09時52分(最終更新 2月5日 09時52分) 菌類 病院および診療所 癌 病気(一般) 健康 ライフ ライフスタイル 胃の粘膜にすむ細菌 人類との付き合いは5万年以上 [PR] 善蔵さんは、橘クリニックの診察室に貼ってある写真に気が付きました。「ヘリコバクター・ピロリ菌」です。一体、どんな菌なのでしょうか? ピロリ菌は、らせん状にねじれた形状の細菌で、胃の粘膜にすみ、酵素で尿素を分解してアンモニアを作り出し、胃酸を中和させて生きています。 ピロリ菌と人類の関わりは長く、初感染は約5万8000年以上前だったとされています。アルプス氷河で発見された「アイスマン」も、ピロリ菌に感染していたらしいですね。 では、感染するとどんな症状が出るのでしょうか? ピロリ菌に感染すると、毒素が粘膜細胞内に入り、数週から数カ月後に胃炎が始まります。それから数年すると、胃や十二指腸潰瘍を発症する人が多いようです。 更に、ピロリ菌には発がん作用があると言われており、感染者は胃がんの発症率が5~10倍高いそうです。 では、ピロリ菌にはどこから感染するのでしょうか?実はいまだに謎なのです。ただ、母子感染が主であることは間違いないようです。 日本では、上下水道の整備などで衛生環境が良くなったため、感染者は減少しています。 厚生労働省の調査によると、感染者は約3500万人と推定されています。感染率は、30歳代が20%、40歳代が30%、50歳代が50%、60歳代が80%と、年齢が上がるにつれて割合が高くなっています。 もし心配ならば、簡単に調べること方法もあります。ピロリ菌が産生する二酸化炭素を検出する「尿素呼気試験」です。試験薬を飲んで、吐く息を集めて診断します。 しかし、もし感染していたらどうすれば良いのでしょうか? 検査を受けて感染していることが分かったら、まず除菌療法を行います。1度で除菌が成功すれば問題ないですが、まだピロリ菌が残っていれば、二次除菌を行います。8~9割の人はこれで除菌成功です。 胃がもたれるなどの症状があったら検査を受けてみるのが良いでしょう。なくても40歳を過ぎたら、胃がん予防にもつながるので検査をおすすめします。 身近なもので(補助的に)ピロリ菌対策もできます。「LG21」と呼ばれる乳酸菌が他の乳酸菌より長く菌の中でも生存できるため、ピロリ菌の定着を邪魔できると期待されているのです。 自らピロリ菌を飲んで急性胃炎になり、抗生物質で菌を殺すと胃炎が治ることを証明し、2005年のノーベル医学生理学賞を受賞した教授らもいました。西オーストラリア大のロビン・ウォーレン氏と、バリー・マーシャル氏です。 それを聞いて善蔵さんは、「菌を飲んでノーベル賞を取ろう」とやる気十分になってしまいました。しかし、それはダメですよ。 文字サイズ 印刷 連載をフォロー 漫画で解説 前の記事 水爆と原爆はどう違う?の巻 次の記事 イマドキのお坊さん事情の巻 関連記事 「微生物の力です」の巻 「乳酸菌」と「ビフィズス菌」の違い がんリスクに備えよう 「ウイルス」と「細菌」の違い