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INTERVIEW 白河桃子 『「専業主夫」になりたい男たち』

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無力化しあうのではなく本当の意味で支えあう夫婦

◆『「専業主夫」になりたい男たち』白河桃子・著(ポプラ新書/税抜き780円)

     11万人の夫が妻の扶養に入ってる!−こんな衝撃的な帯で話題を呼んだのが、白河桃子さんの『「専業主夫」になりたい男たち』だ。白河さんはその背景が「おしゃれ」でも「トレンド」でもなく、絶望と達観から生まれた新戦略であることを明らかにした。

    「1997年から始まった“男性不況”で、鉄や船舶といった重厚長大産業が海外に移り、国内では男らしい仕事がなくなってしまった(笑)。今の仕事は7割が介護や保育といったサービス業で、女性が従事しやすい仕事が活況です。バブル崩壊やリーマン・ショックを経て、大企業に入れば一生安泰という幻想も終わりました。会社に一生を捧(ささ)げる価値がないのなら、男性の人生の選択肢の中に『主夫』が入ってくるのは当然のことです」

     さらに、これまでの取材を通して白河さんがつかんだのは、高度成長期の「夫は仕事・妻は家庭」というライフスタイルがそんなに幸せそうでもないという実感だ。

    「60年代から70年代が右肩上がりの高度成長だったため、その役割分担が上手(うま)くいったように思われがちですが、それが結局、今の老人の貧困層を生んでいる。政府の施策は失敗だったんじゃないかと思っています。それに、以前『妻は家庭』の“昭和妻”を取材していて驚いたんですが、夫が、家では靴下の場所も知らないくらいに無力化している。私がいないとあなたは何もできないでしょ? だからあなたは私と別れられないでしょ? そう言って、給料を持ってくる『ATM』を確保しているんですと堂々とおっしゃる方がいました」

     支えあい夫婦といえば聞こえはいいが、無力化して縛りあっているともいえる。そうした親世代を反面教師として見てきた今の人たちは、別の選択肢を見つけ始めている。そもそも日本は、子供を含めた家族で助けあいながら農業をしてきた国であり、男女問わず働いてきた歴史がある。男女雇用機会均等法が施行されて30年の今。男性より稼ぐ女性もいるし、男性より商才に恵まれた女性もいる。一方、仕事よりも家事にやりがいを見いだす男性もいるのだ。

    「イクメンにも取材させていただきましたが、女性のほうが子育てに向いているという母性神話は少々怪しいですね。ずっと赤ちゃんと向きあっていれば、男性でも女性でも赤ちゃんの望むものや泣いている理由はわかりますよ。男性にできないのはおっぱいをあげることだけなんです」

     授乳のために子供を車に乗せて妻の会社に走る「主夫」もいる。

    「今の女子大生は、一生懸命就活もするけれど、その一方で、仕事は30歳まで、結婚したら両立できないと考えていたりもします。どちらか一つではないとわかると、もっとリラックスできると思う。それに、お金のことも大事。夫婦が家事も育児もできる『兼業型家庭』のほうが世帯年収も高いことがわかっているんです」

     男性だって、仕事だけの人生じゃ物足りないでしょ?と、白河さん。「主夫」は、夫を「ATM」から解放してくれるキーワードなのかもしれない。

    (構成・柴崎あづさ)

    −−−−−

    しらかわ・とうこ

     少子化ジャーナリスト、相模女子大学客員教授。一億総活躍国民会議の民間議員。山田昌弘氏との共著『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書)により婚活ブームを起こす。著書に『格付けしあう女たち』『専業主婦になりたい女たち』ほか

    <サンデー毎日 2016年2月14日号より>

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