メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

余録

4年前に火星に着陸し、今も観測を続けている米国の火星探査車「キュリオシティー」には…

[PR]

 4年前に火星に着陸し、今も観測を続けている米国の火星探査車「キュリオシティー」には観測とは関係のないマイクロチップも搭載されていた。そこに記録されていたのは、レオナルド・ダビンチが書いた「鳥の飛(ひ)翔(しょう)に関する手稿(しゅこう)」だった▲ダビンチが空飛ぶ鳥を観察し、その詳細をスケッチと共に記した直筆ノートである。それは他ならない空を飛ぶ器械と操縦法の研究で、人類の飛翔への意志と能力を表した歴史的な宣言ともいえる。この天才のビジョンが火星を縦横に走行した500年後の世である▲その実物を東京・両国の江戸東京博物館の特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦」で見た。左利きのダビンチの文章は左右逆の鏡(かがみ)文字(もじ)で書かれている。褐色インクの字とスケッチは謎めいた宗教文書のようだが、翻訳を見れば精緻な自然観察の記録だった▲特別展のもう一つの柱が画家・ダビンチの円熟期の傑作「糸巻きの聖母」の日本初公開である。聖母と糸巻き棒を持つ幼子のイエスを描いた数少ないダビンチの真筆絵画の一つで、後に「モナリザ」のほほえみを表現したスフマート(ぼかし技法)が用いられている▲十字架のような糸巻き棒に幼子が体をひねりながら手を添え、指先を見る構図はその後多くの画家が描いた。うち2点も展示されていたが、最後にダビンチの作品の前に立ってちょっと驚いた。聖母子が浮き上がって動き出すように感じたのは光の加減か何かなのか▲ダビンチは未来を予言した。「地球の反対側に住む人々が、互いに話し合い、理解し合うだろう」。500年の時空を超える天才の知と美の射程である。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 首相会見「官邸職員が記者の腕つかむ」朝日新聞社が抗議 官邸側は否定

  2. 川崎の駐車場で露出 公然わいせつ容疑で港区議逮捕 否認「右手で隠していた」

  3. 女子高生をワイヤで拘束、監禁 容疑で会社経営者を逮捕 埼玉県警

  4. 愛知県で新たに140人感染 10日連続100人超 名古屋市は72人

  5. ORICON NEWS 元アイドリング!!!の伊藤祐奈さん、巨人・北村拓己選手との結婚発表 第1子出産も報告

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです