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社説

読書感想文 思考の扉を開け放とう

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 ただひたすら学校を目指し、ただぼうっと家を目指す。そんな登下校が、この本に出会ってから「有意義な時間」と変わった−−。

 千葉市立さつきが丘中学校1年、木村真恵さんは「身近な雑草の愉快な生きかた」(筑摩書房)を読んで、それぞれ特性を持ち、たくましく生きる多様な雑草にひかれた。

 その感動と発見を、伸び伸びとした筆致で記した「足元にあった愉快な世界」は、第61回青少年読書感想文全国コンクール(公益社団法人全国学校図書館協議会、毎日新聞社主催)中学校の部で内閣総理大臣賞に選ばれた。1冊の本との出会いが未知の世界へ扉を開き、視野を豊かにする。読書の醍醐味(だいごみ)といえよう。

 今回のコンクールには、海外日本人学校も含め450万946編の応募があり、うち小学校の255万1956編は、少子化時代にあっても史上最多を数えた。

 教育の一線で本に親しむ指導と読書環境の整備・改善に力を注ぐ教師ら関係者の熱意と実践が大きな支えだ。文部科学省の2014年度公立校調査では、「朝の読書」など全校一斉読書活動をしているのは小学校で96・8%、中学校88・5%、高校42・9%。いずれも増えている。

 さらに、地域ボランティアらによる「読み聞かせ」▽本の面白さを聞き手に語り伝える「ブックトーク」▽必読書・推薦書コーナーの設置▽目標とする読書量の設定など、工夫は多様にある。

 地域との連携が大切なカギだ。

 例えば島根県隠岐諸島の海士町(あまちょう)。人口減少が続き、2400人に満たない。公共図書館はなかった。そうした中、将来の人づくり施策として読書を挙げ、07年に「島まるごと図書館構想」をスタートさせた。

 図書館がないなら町内でネットワークをという発想だ。保育園、小・中・高校のほか、地区公民館など人が集まる所を「図書分館」と位置づけ、図書情報を共有した。スタッフも配置された。

 現在は中央図書館が整備され、町内14カ所がネットワークを形成する。町外からも賛同の協力があり、蔵書は飛躍的に増えた。学校でも図書館利用の学習が活発という。

 今、学校教育では言語活動、思考力、課題解決型学力重視が大きな流れになっている。校内外の図書や情報の活用はますます重要になる。また大学入試も記述式問題で思考過程を問うという。読書習慣が学力にも反映することは学力テスト結果などで指摘されている。

 なお行き届いていない司書教諭、学校司書の配備など基盤の拡充を急ぎ、思考力、表現力、感受性を豊かに育てる学びの支えとしたい。

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