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メディア時評

お国自慢と記憶の捏造=文筆家・立教大特任教授、平川克美

 他人の欠点はよく見えるが自分の欠点は目に入らない。それが集団的な排外的思想や尊大な自国礼賛に結びつけば、厄介なナショナリズムへと発展する。

 1980年代後半のバブル期、パリやニューヨークの高級品店で、爆買いする日本人の姿は、珍しくはなかった。私自身、空港で手に持てないほどの高級品を買いあさる一団を目撃して、その旺盛なエネルギーとマナーの悪さに驚愕(きょうがく)した。中国人の爆買いを揶揄(やゆ)し誹謗(ひぼう)するものは、それが少し前の自分たちの姿だったことを忘れている。最近の日本人は道徳意識が希薄になり、犯罪も増加の一途をたどっているという慨嘆も、データを調べてみれば、捏造(ねつぞう)された記憶であることがすぐに分かる。

 安倍晋三首相は、「日本を取り戻す」をスローガンに掲げているが、どの時代のどんな日本を取り戻したいのかは判然としない。彼は、著書「美しい国へ」で、日本人のモラルの低下を問題視しているが、具体的な根拠はあいまいだ。文部科学省も、道徳教育を推進するプロジェクトを進めており、総じて日本の「良き伝統」への回帰を目指しているように見える。

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