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社説

難民の受け入れ 柔軟な審査で拡大図れ

 昨年1年間の難民認定者数(速報値)を法務省が公表した。認定者は前年より16人増の27人だった。

     難民は、母国での迫害から逃れ、他国に保護を求める人たちである。日本は1981年に難民条約に加入し受け入れを始めた。だが、年間万の単位で受け入れるドイツなど欧州の国や米国と比較するまでもなく、受け入れは極めて少数にとどまる。

     難民支援では、金銭面だけでなく、人の受け入れを進めることが国際社会の要請だろう。政府はより積極的な受け入れ策を打ち出すべきだ。

     難民申請者は5年連続で最多を更新し、7586人に上った。就労目的での申請が増えたためとされる。

     こうした偽装申請により、難民として本来保護されるべき人の審査が遅れてはならない。法務省は昨秋から、明らかに難民に当たらない人を審査の前に振り分けている。審査の迅速化を一層、図ってほしい。

     審査方法の見直しも課題だ。難民支援の非政府組織(NGO)などによると、日本の審査は、諸外国に比べ「迫害」のとらえ方が厳格で、本人に強く証明を要求する。また、紛争や内戦を理由とする避難民を欧米のように難民と同様に扱わない。

     内戦で400万人以上が国を追われ、難民受け入れが国際的な課題になっているシリア出身者も例外ではない。昨年の認定は3人だった。昨年までの5年間でシリア出身者65人が難民申請したが、認定は6人だ。出国した6人を除く53人が「人道的配慮」などで在留を認められたが、難民認定されなければ日本語学習や職業訓練の支援は受けられない。在留も1年ごとの更新だ。一時的な保護ではなく、息の長い支援を政策の中心に据えるのがやはり筋だ。

     近年では、国際機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、入管職員が研修を受ける機会が増えている。UNHCRは各国の難民認定の実情や、内戦など紛争地の最新情報にも詳しい。ノウハウをもっと取り入れ、柔軟な基準の審査に転換していく必要がある。

     安倍晋三首相は難民問題について今国会で「将来、その国を担う子供を受け入れる可能性を検討していく」と述べた。詳しい内容は分からないが、受け入れる人の選別につながってはならないだろう。

     一方、難民受け入れ拡大の現実的な方策としては、「第三国定住」制度の活用があるのではないか。他国で難民として生活している人を受け入れる仕組みだ。日本は、この方法でタイなどからミャンマー難民を受け入れている。難民支援を誓った2011年の衆参両院の決議でも、「第三国定住」の充実を表明している。政府は検討してもらいたい。

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