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津野 海太郎・評『映画の話が多くなって本音を申せば(9)』小林信彦・著

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◆『映画の話が多くなって本音を申せば(9)』小林信彦・著(文春文庫/税抜き610円)

 小林信彦さんの日録エッセー「本音を申せば」の連載が『週刊文春』ではじまったのが1998年。だいたいは三年後に文庫化されるので、おもにそれで読んできた。

 今年も正月あけに、その十五冊目として『映画の話が多くなって』が文春文庫から刊行されたので、さっそく読み、「7月16日の〈さようなら原発10万人集会〉には参加できなかった」という一行にぶつかって、「えっ、小林さんが!」と、ちょっとびっくりした。

 小林さんとは濃淡はあれ長いつきあいがあるが、その間、集会やデモに「参加」する氏の姿を見かけたことはもちろん、想像してみたことすらない。この巻の執筆時は2012年。その前年の福島原発の爆発事故に七十九歳の氏は心身に不調をきたすほどの衝撃をうけた。そのことはたしかに知ってましたよ。しかしそれにしても、根っからの集団ぎらいの小林さんがそこまで思いつめていたとは。

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