メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

SUNDAY LIBRARY

池内 紀・評『会津物語』赤坂憲雄+会津学研究会編著

◆『会津物語』赤坂憲雄+会津学研究会編著(朝日新聞出版/税抜き2300円)

 久生十らんの短篇「生霊」に狐が出てくる。主人公は旧盆のころに飛騨の山奥の小さな町へ出かけた。夕食のあと、盆踊りを見ようと谷川沿いの一本道を行くと、河原の窪地に迷いこむ。まわりは峻(けわ)しい段々畑。突如、歌ごえが聞こえてきた。畑からばかりではなく、「あちらの嶺からもこちらの峡(はざま)からも」湧いてくる。ひとくさり前唄をうたうと、やっとこせ、コラサと合いの手を入れる。「こんな晩に悪ふざけをするのは高山狐か飛騨狸にきまっている」

 いつも小説を読む愉(たの)しさを思い出させてくれる作家であって、ここには四ページばかりの短いものから中篇まで八篇が選んである。ハムレットの世界に入りこんだり、架空の国をへめぐったり、ページをくるごとにちがう風景があらわれて、さながら不思議ののぞき眼鏡を見ているようだ。

この記事は有料記事です。

残り1043文字(全文1431文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 首相と菅氏、吉村知事を厚遇「リーダーシップに敬意」 小池氏と対照的

  2. 感染者と同席「コロナパーティー」 「無敵」と参加の30歳死亡 「間違いだった」言い残し

  3. 「死に追いやってしまった」「逮捕されるのが怖い」 木村花さん誹謗中傷 加害者の心情

  4. 王位戦第2局、藤井聡太七段が2連勝 終盤の強さ発揮 最年少タイトルに挑戦中

  5. 名古屋の名東区役所職員刺される 刺した74歳を殺人未遂容疑で現行犯逮捕 愛知県警

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです