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SUNDAY LIBRARY

池内 紀・評『会津物語』赤坂憲雄+会津学研究会編著

見えなくても、それと共に生きている

◆『会津物語』赤坂憲雄+会津学研究会編著(朝日新聞出版/税抜き2300円)

 久生十らんの短篇「生霊」に狐が出てくる。主人公は旧盆のころに飛騨の山奥の小さな町へ出かけた。夕食のあと、盆踊りを見ようと谷川沿いの一本道を行くと、河原の窪地に迷いこむ。まわりは峻(けわ)しい段々畑。突如、歌ごえが聞こえてきた。畑からばかりではなく、「あちらの嶺からもこちらの峡(はざま)からも」湧いてくる。ひとくさり前唄をうたうと、やっとこせ、コラサと合いの手を入れる。「こんな晩に悪ふざけをするのは高山狐か飛騨狸にきまっている」

 いつも小説を読む愉(たの)しさを思い出させてくれる作家であって、ここには四ページばかりの短いものか…

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