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佐藤優・評 『この国の冷たさの正体−一億総「自己責任」時代を生き抜く』=和田秀樹・著

 (朝日新書・778円)

心に余裕を持って、自他に優しく

 生活保護受給者へのバッシング、大量の自殺者、うつ病や依存症に罹患(りかん)する社会人の増大など、現在の日本はさまざまな社会問題をかかえている。ここで顕著なのは、経済的弱者や競争社会からの脱落者に対する対応が、諸外国と比較して非常に冷たいことだ。この傾向をテレビが加速している。現状を詳細に分析した上で、和田秀樹氏は、その原因が、米国流の自己責任論にあるという。責任回避をしやすい傾向の文化にある米国だから、あえて自己責任論を導入する必要があったという和田氏の指摘は鋭い。共同体意識が強い日本に自己責任論を人為的に持ち込み、その結果、社会が内側から解体されてしまったために、この国の人々が冷たくなってしまったのである。このままの状態が続くと日本社会は、ますます弱くなると和田氏は警鐘を鳴らす。特に危機的なのが教育分野だ。

 <日本は福祉水準が低い国で、失業保険や生活保護も諸外国と比べると充実していない国です。教育分野はとくに手薄で、消費税20%を導入しているヨーロッパ諸国は教育費用が無料だったり、共働き家族のために24時間預けられる保育所が地域ぐるみで無料で設置されていたりするのに対し、日本には子どもを育てたり、働けなくなってからの制度が充実していません。それでも成り立ってきたのは、高度成長期に大企業を中心として福…

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