メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

鴻巣友季子・評 『闇の河』=ケイト・グレンヴィル・著

 (現代企画室・2700円)

書き継がれる三つめの国家神話

 原題はThe Secret River。「オーストラリアの歴史には密やかな(シークレット)血の河が流れている」という人類学者W・H・スタナーの言葉から、この題名と作品が生まれたという。

 十八世紀末、ロンドンの最貧層に生まれたウィリアム・ソーンヒルは、食べるために軽犯罪を繰り返す。その成り行きや街の情景はディケンズを彷彿(ほうふつ)させるが、「茨(いばら)の丘(Thornhill)」という名をもつ彼は、さながら『天路歴程』の「クリスチャン」のごとく、あらゆる苦難と誘惑に出会う。十三で孤児となり、十四で船頭業につき、二十一で師匠の娘と結婚、と一度は上り調子の人生に転ずるものの、再び窃盗を犯し、シドニーへの終身流刑が決まる。

 開拓村に着いた一家三人は、丘の上の小屋をあてがわれ、三年が経(た)つころには豊かな食卓を囲むまでに…

この記事は有料記事です。

残り1124文字(全文1516文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 小6女児が2日前から行方不明 大阪府警、情報提供呼びかけ

  2. 女子高校生、フェリーから飛び降り死亡 家族から不明届、警察官が保護し同行中

  3. 堺市立小教諭、教え子の中1少女にキス 口止めも 強制わいせつ容疑で逮捕

  4. 日中合同追悼の集い 強制連行、悲劇訴える靴 6830人分、それぞれに命と家族 /東京

  5. 唐揚げ、焼きそば、瓶ビール…官邸幹部の「セコい裏技」露呈 「桜を見る会」弁明

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです