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SUNDAY LIBRARY

高橋 敏夫・評『妖草師 魔性納言』武内涼・著

◆『妖草師 魔性納言(ましようなごん)』武内涼・著(徳間文庫/税抜き740円)

 突然こんな情景へひきこまれる。「夏の白昼の森はなまなましい暴の気が横溢(おういつ)する。/一転−夏の、夜の森は、凄まじい鬼気が、満ち溢れる。黒々ともだえるアラ樫(かし)や、椎(しい)の梢の一つ一つや、奇怪(きつかい)なシダ植物の葉の一枚一枚に、幽鬼や魑魅魍魎(ちみもうりよう)、妖(あやかし)の虫が、こびりついているような気配で、溢れ返る」

 常識をはずれた異なる人物、異なる光景、異なる趣向が時代伝奇小説の愉(たの)しみだとしても、事件を追い足を踏みいれただけの夏の夜の森が、これだ。次になにが起きるのか予測もつかず、わたしたち読者に心地よい緊迫感をもたらす。武内涼「妖草師」シリーズの最新作『魔性納言』である。

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