◆『ぼくの道具』石川直樹・著(平凡社/税抜き1500円)
テントの出入りのとき、靴の着脱の手間を省いてくれるダウンシューズの項。その機能性を語る、このくだり。
「人生指南系の本を量産している作家のエッセイをたまたま読んだら、一流の人は玄関できちんと靴ヒモを結んだり解いたりするものだ、といったようなことが書いてあった。それを読んで、『何を言ってるんだこの人は』と思った」
「一流の人」の物差しが靴ヒモにあるとは私も初耳だが、それはさておき、本書の立ち位置を端的に表す箇所である。生命維持に影響をおよぼす土地、つまり極地を旅するとき、人間を助けてくれるのはどんな道具なのか。日常を超えた場所に身を置くとき、適材適所の道具とは何なのか。体験から導き出された知恵を知りたくて、極地に旅をしない私も本書を手に取った。
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