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幻想と現実の落差演じる、カトリーヌ・フロの技巧

 歌が下手な人はどうすればいいでしょう。もちろん歌わなければいいわけですね(私のことです)。でも、歌が好きなうえに自分がうまいと思っていたらどうなるだろう。これは、音痴なのに上手だと思い込んでいる女性の物語です。

 舞台は1920年のフランス。上流社会のクラブが催す音楽会に着飾った男女が集まっています。次々に現れる歌手のなかで、メインは男爵夫人のマルグリット。観客の見守るなか、オペラ「魔笛」から夜の女王のアリアを歌いますが、これがひどい。声域が狭く音程も外れた夜の女王です。

 でも、観客は拍手する。マルグリットを傷つけたくないんですね。おまけにお屋敷の執事は、ファンが送って…

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