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磯田道史・評 『商都大阪をつくった男 五代友厚』=宮本又郎・著

 (NHK出版・1404円)

 五代友厚(ともあつ)が注目をあつめている。NHKの朝の連続テレビ小説「あさが来た」で、ハンサムな俳優が五代を好演。ドラマの中で五代が死ぬと、「もう五代さまが見られなくなる」と涙する女性もいて、「五代さまロス」という言葉まで生まれた。

 歴史家としては嬉(うれ)しいような狐につままれたような妙な気分である。五代は掛け値なしでほんとうに偉い男である。総理大臣なんぞには、ほど遠い男であったが、そこいらの総理大臣よりも、ずっと立派な仕事を、この国に遺(のこ)した。歴史家がそれをきちんと評価して世に知らしめなければならなかったのだが、それができないうちに、イケメン俳優が演じて、五代を一挙に有名にする事態がおきた。

 なぜ五代は偉いのか。明治日本にとって、なすべきことを真っ先に指摘。出世欲で、官界にしがみつくことなく、それを自分で実践してみせたからである。今日、大久保利通の評価は高いが、薩摩藩士のなかで、大久保・西郷よりもずっと先に西洋文明にふれ、日本近代化の方法を真っ先に知っていたのは、五代であった。五代は少年時代、島津斉彬(なりあきら)の期待を一身にうけて世界地図の筆写を献じ、長崎海軍伝習所に入れられ、つ…

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