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小島ゆかり・評 『ねこはすごい』=山根明弘・著

 (朝日新書・821円)

好奇心刺激、猫尽しの喜びに浸る

 ひとつ、不思議な話をします。ただいまわが家には猫が二匹。まもなく十歳と二歳。二匹とも次女が拾ってきた。上の雄猫は、次女が高校二年の六月、校門の前に段ボールに入れて捨てられていた。段ボールの中にはやわらかいタオルが敷かれていたというから、捨てた人の気持ちがちょっと伝わる。それはともかく、二年後の夏には、すばらしい跳躍力で蝉捕(せみと)りをするまでに成長した。

 不思議なことに、捕まえた蝉は必ず次女の部屋に持っていく。彼女が捨て猫だった自分を救ってくれたからか、それとも、初めて蝉を捕ったときにいちばん褒めたからか、理由はわからない。が、毎日一匹、まるで貢物(みつぎもの)のように、彼女の机の下に蝉を置く。数年後、次女は独立して家を出たが、その夏もまた、蝉が弱って捕りやすくなる八月の終わりごろには、毎日一匹、蝉が置かれた。そこにもう、次女はいないのに。彼の不…

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