
「クロストーク」の最後のアンサー回になります。8年間、みなさまと双方向でお話ができて、本当に幸せでした。そして、最後の回も力作の投稿が集まり、画面の前で感動していました。こういうことがしたくて、クロストークをスタートさせました。そして、8年間たって、双方向のコミュニケーションがほぼすべてのメディアで空気のように主流となり、日常に溶け込んでいることを心から喜んでいます。
今回のテーマである新聞の未来について、読者の方々からさまざまな切り口をいただきました。まず、信頼性ある情報を凝縮して活字で送る、という特徴は外せないのではないかというご意見が相次ぎました。動画など、分かりやすくても、情報量の少ないコンテンツは新聞には向かないのではないかという意見です。
だからといって、紙を愛用する高齢者にターゲットを絞っては、当面はいいかもしれませんが、数十年後には後がありません。そうしますと、必然的にITとどう共存するかということになりますが、ITを活用するとしたら、動画ではなく、むしろ、活字メディアという特徴は生かしながら、それをウェブを通じて、読者の読みたい順に並べる、サイトにわざわざいかなくても、プッシュで読みたい記事を配信するなどの手法が提案されています。
また、情報を発信するという意味では、地域社会、特に行政との連携による地域住民サポートや、新聞社主催のイベントやセミナーなどを地域と連携する双方向コミュニティー、ネットワーク作りが鍵になるはずです。
メディアはもともと「媒体」であり、誰かと誰かをつなげるためのものと定義した場合、まだまだ新聞にできることがたくさんあります。信頼性の高いコンシェルジュとして、どうやって「読者」という大ぐくりな表現ではなく、「○○地域に住んでいる○○さん」という形で、その人にあった情報を届けられるのか、さらに、読者同士のコミュニケーションやコミュニティーをどう形成できるかが今後の生き残りの鍵になるのではないでしょうか。
すばらしい意見が多く、最後のベストアンサーは本当に迷いましたが、TANIGUCHI Akiraさんの、新聞の未来とは、「情報はその人の興味があるものをプッシュベースで配信される仕組み+キラーコンテンツの組み合わせではないか」という提案を選びます。
この仕組みに類似するものはグーグルなどが、登録したキーワードに基づくアラートで提供していますが、さらにこの好みを新聞の購読に基づく自動生成で行うことで、クリケット、ツール・ド・フランスのような特定の興味に対して、読者が納得できる新聞を届けることが可能になるはずです。実際、フェイスブックなどはそのような仕組みで動いているからこそ、依存性が高いのです。
新聞にはこれまでの歴史と読者と信頼があります。そこに技術やアイデアを加えて、さまざまな試みを行うことで、まだまだ新しいコンテンツやユーザー開発の余地があるはずです。クロストークが8年前から現在に至るまでにその一助になったように、これからも、毎日新聞さんも、そして、私も、さまざまな試みを続けていきたいと思います。
8年間、本当にありがとうございました。