メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

沼野充義・評 『プラハの墓地』=ウンベルト・エーコ著

 (東京創元社・3780円)

現代に直結する陰謀と愛国心の病

 ウンベルト・エーコが二〇一〇年に発表した長編である。著者は残念ながら、この二月に七四歳でなくなったため、日本の読者にとって遺言のようにも思える本となった。エーコと言えば、イタリアきっての記号論学者、驚異的な博識をもって鳴る文芸学者だが、『薔薇(ばら)の名前』(一九八〇年)が世界的な大ベストセラーとなってからは、現代の世界文学を代表する小説家としても活躍してきた。しかし『プラハの墓地』は、知的エンターテインメントとして第一級の作品であるだけでなく、現代世界にとって強く警告の意味合いを帯びているという点で、特別な作品と言えるだろう。

 主人公はシモーネ・シモニーニという、イタリア北部ピエモンテ出身の男。ユダヤ人嫌いの祖父の薫陶を受け…

この記事は有料記事です。

残り1116文字(全文1463文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 電車とホームドアの間に巻き込まれ医師死亡 稼働前で線路側に入れる状態 京急・上大岡駅

  2. 余録 鉄道会社が列車の5分遅れを「おわび」し…

  3. 小学生バレーボール体罰 一部の保護者、口止め誓約書を配布 「情報漏らした」と正座させ詰問も

  4. 電車の英語アナウンス、実はあの人…NHK「英語であそぼ」出演

  5. 平手打ちや蹴り 小学女子バレー監督が体罰か 日小連が再調査指示 大分

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです