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社説

差別解消法施行 障害者に一層の配慮を

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 障害者差別解消法が4月に施行される。障害を理由に不利な扱いをしないだけでなく、個々人の障害特性に対する「合理的配慮」を行政や企業に義務づけたところが重要だ。

 とかく横並びの協調性が重視される社会に息苦しさを感じる人は多いはずだ。障害者だけでなく誰もが個性を認め合える社会にするため、この法律を生かしていくべきである。

 表面上、障害者を一般の人と区別して不利に扱わないというだけでは、真の平等にならない場合が多い。

 車いすの学生が一般の学生と分け隔てなく入学を認められても、校舎にエレベーターがなければ、2階以上の教室から閉め出されているのと同じだ。市役所の窓口で目や耳の不自由な人が手話通訳や点訳の資料なしで説明されても、十分に理解できないことが多いだろう。

 こうした場合に学校や行政に対して過重な負担にならない範囲で、エレベーター設置や補助的な情報手段を求めることができる。これが合理的配慮だ。同時に施行される改正障害者雇用促進法でも合理的配慮が企業に義務づけられた。

 塩素濃度に過敏で学校の水道水を飲めない、黒板の文字がゆがんで読み取れない、などの特性を持つ発達障害の子がいる。自宅から水筒を持参することや、文字のゆがみを修正するパソコンソフトの利用を求めたところ、学校から「1人だけ特別扱いできない」と許可されない。そんなトラブルが各地で起きている。

 視力の弱い子には眼鏡やコンタクトレンズ、食物アレルギーのある子には特別食が認められるように、見た目で障害がわかりにくい子にも合理的配慮は必要なのだ。

 仕事や生活に不自由な思いをしている障害者に配慮する文化を育てると、一般の人へも恩恵が広がる可能性がある。車いす用トイレが多目的トイレに進化し、多くの人が便利になった。知的障害者へのわかりやすい説明は、外国人観光客にも優しさを感じてもらえるはずである。

 課題は、相談や紛争解決の体制が不十分なことだ。法務局や労働局など国の出先機関や教育委員会、警察、弁護士会などが連携する「障害者差別解消支援地域協議会」の設置が同法で規定された。都道府県は8割以上が4月に設置する予定だが、市区町村は2割程度にとどまるという。

 障害者からの要求が高まり、事務負担も増すことを警戒する自治体は多い。だが、内閣府が実施したモデル事業では、同地域協議会の円滑な運営によって障害者からの苦情が減り、行政の事務負担も軽減される例も示された。誰もが暮らしやすい社会を実現するため、各自治体は前向きに取り組むべきである。

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