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ニッポン瞬・彩

人馬一体土壁に挑む 多度大社の上げ馬神事(三重・桑名)

土壁を一気に駆け上がり、大歓声で迎えられる裃、陣笠姿の若武者=三重県桑名市多度町の多度大社で、松本成さん撮影

写真・キャプション 松本成

 花笠に武者姿、弓箱を背負い、腰に太刀の若者を乗せた馬が、120メートルの馬場を駆け抜け、高さ1.8メートルの土壁に挑む。人馬一体、必死の手綱さばきを、見物客がかたずをのんで見守る。駆け上がるか、どうだ、よーし上がった! 大きなどよめきと拍手が馬上の若者に送られる。三重県桑名市多度町の多度大社(たどたいしゃ)に700年近く伝わる「上げ馬神事」は毎年5月4、5日に行われ、20万人が詰めかける伝統の神事だ。桑名市の写真家、松本成さんの写真で紹介する。

        ◇

 「ニッポン瞬・彩」は、各地のカメラマンが地元ならではの目線で撮った「わが街自慢写真集」です。

=松本成さん撮影

「上げ馬神事」は多度大社と猪名部神社(三重県東員町)で行われている県指定無形民俗文化財。多度大社では南北朝時代、若武者の士気を高めるために始まり、織田信長の伊勢侵攻で一時途絶えたが、江戸時代に桑名藩主が馬や装束を与えて復活させた。土壁を上りきった馬の頭数で田植えの時期や稲作の豊凶も占うという

=松本成さん撮影

初日4日は「試楽(しがく)」。6地区(多度3郷、猪飼3郷)が馬場を3往復する練習走行。馬場乗(ばばのり)といわれる

=松本成さん撮影

上げ馬が始まる前の坂には、御幣が立てられている。各地区から集まった代表は、御幣を取り除き、築いた坂の一部を青竹で削り合い、馬が駆け上がりやすいようにする。坂爪掛(さかつめかけ)という。この時、上げ馬一番手の「花馬」の地区の者は上がりやすいように多く削ろうとし、他の地区の者はこれを阻止する

=松本成さん撮影

裃(かみしも)、陣笠(じんがさ)姿の上げ馬が成功した。服装は「小袖の上に裃、太刀を佩(は)き陣笠を冠(かぶ)る」。祭馬が走り出す前まで、氏子たちは景気づけに伊勢音頭を歌う

=松本成さん撮影

祭馬が走り出すと、氏子たちは「ハイ、ハイ、ハイ」と威勢よく連呼する。観衆はかたずをのんで見守り、成否が出た時点で歓喜と落胆に分かれる。上がった祭馬、興奮冷めやらず暴れる

=松本成さん撮影

本祭5日の午前6時。多度大社の行事の中でも最も重要な御例祭(朝祭り)を終え神社を出る神児と6地区の騎手

=松本成さん撮影

祭馬を飾る氏子と、着飾った馬の様子を興味ありげにながめる子供

=松本成さん撮影

いよいよ神社に乗り込み、祭馬に乗る直前の騎手。5日の本祭に挑む若者は、クジャク、松竹梅、アヤメなど地区ごとに代々受け継がれた花笠をかぶった武者姿だ。多度地区、松竹梅の花笠の重み。一抹の不安がよぎったか、無理もない。多くの人に期待を背負い、上げ馬神事に挑まなければならないのだから

=松本成さん撮影

戸津地区、アヤメの花笠をかぶった若武者が神社へ向かう。出発に際して水杯を交わす

=松本成さん撮影

警固人に先導される。警固というより道化役で騎手を引き立たせている

=松本成さん撮影

乗り込み途中、所定の場所で古例により、馬上で弦打(つるうち)をする

=松本成さん撮影

上げ馬神事の醍醐味(だいごみ)。多くの人々に注目の中、土壁を勢いよく乗り越える人馬

=松本成さん撮影

坂を駆け上がってきた祭馬に、喜び、泣き、近づいて抱きつく氏子たち。この馬人ぶりが、上げ馬神事が奇祭といわれるゆえんの一つ

=松本成さん撮影

健闘をたたえる仲間。悔し泣きする騎手。あと半歩だった。祭馬で坂を駆け上がることができなかった

=松本成さん撮影

すべての疾走を終えた、人と馬の凱歌(がいか)

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