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湯川豊・評 『怪しいものたちの中世』=本郷恵子・著

 (角川選書・1728円)

日本人とは何かまで考えさせる力

 第一章「中世の博打(ばくち)」が始まるとすぐに、こんなエピソードが語られる。藤原定家の日記『明月記』に出てくる話だ。

 伊予国に天竺冠者(てんじくかじゃ)と名のる狂者がいた。この男がとらえられ、神泉苑に引き出されて、後鳥羽院がご覧になった。さまざまに問うて、その神通力の無さがばれてしまった云々(うんぬん)。

 同じ天竺冠者のことを、『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』はもう少し詳しく書いている。男は空を飛…

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