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詩歌の森へ

戦いと戦いの谷間=酒井佐忠

 塚本邦雄の「最後の弟子」である森井マスミの歌集『まるで世界の終りみたいな』(角川書店)が、混乱にあけくれる世界の現実に襲いくる不条理な感覚を、見事に表現していて注目される。森井は、1968年大阪市生まれ。近畿大大学院で塚本に直接師事して作歌を始めた。すでに現代短歌評論賞などを受賞して活躍する気鋭の歌人。歌集は東日本大震災を挟んで2009年から14年までの作品を集め、世界の病理を感受する批評意識が特色だ。

 <大いなる厄災あれど変はらぬ世界 死に瀕すれど従順なひとびと><まほらなるフクシマのうみ波立ちて陸おほひ尽くししはいつの日>。ヒロシマからチェルノブイリ、そしてフクシマへ。崩壊のステージが進むなかで、置き去りにされたものがある。変るべき価値観も忘却の彼方(かなた)だ。<ここになにがあつたか、あそこになにがあつたか、わからない 選択肢ごと根こそぎの世界>。あらゆる関係が無効になる世界に、全ての人間…

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