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 江戸時代の作家、上田秋成の「雨月物語」に「夢応の鯉魚」という一編がある。「自由」を書いた傑作である。ある僧侶が夢でコイに変身し琵琶湖を泳ぎまわるのだが、そのシーンが五七調の名文で、「そう、自由とはこういうもの!」と膝を打つような文章なのである。

 このコイはやがておなかがすく。食べ物を探し回ったあげく、釣り針にひっかかり、まな板にのせられて切られる寸前、僧は夢から覚める。しかしそれは夢ではなかった。実際に寺の厨房(ちゅうぼう)では、コイが切られる寸前だったのである。

 私たちは自由主義社会に暮らしている。しかし真に自由なのだろうか? 衣食住をまかなうために、時間に縛られてなんとかかんとか生きているのが現実だ。いかなる社会であろうと、生き物にとって「食べていく」ことと「まったき自由」とは相いれないことを、この一編は語っているのである。

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