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論点

司馬遼太郎の問いかけ

本誌のインタビューで語る司馬遼太郎さん=都内のホテルで1995年2月2日

 「国民的作家」と呼ばれる司馬遼太郎(1923〜96年)が亡くなって20年。節目の年を迎えて、テレビや雑誌などでは回顧特集が続く。司馬は多くの歴史小説、エッセーを残した。発表当時、歴史上の若き群像に当てた光は、一方で同時代の陰も映し出したと評された。そして、司馬作品はいまも、私たちの胸に何かを問いかけている。

 あれだけの作品を残した司馬さんは、同世代の天才だった。互いが30代後半のころに出会った。ライバルというほどではないが、どこかで仕事を意識し合っていたのかもしれない。私は古代、司馬さんは近代を主なテーマとし、学者と作家の違いはあった。司馬さんは新刊が出るたびに本を送ってくれて、私はそれを読んできた。こちらも自著を送っていた。そして私たちは京都学派の中心だった桑原武夫さんに気に入られ、「外弟子」のような存在になった。

 彼には中国大陸でのつらい軍隊経験があった。昭和の戦争をどう考えていたのか、結局小説には書かずに亡くなった。それを今でも残念に思っている。後年、司馬さんが小説の執筆をやめると宣言したとき、私は「もっと小説を書いてください。従軍した第二次世界大戦を書いてほしい」という内容の手紙を出した。司馬さんの返事は「自分としては書けることは書いた」だった。しんどくてつらい仕事だったんだと思う。それでもあの戦争を…

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