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社説

成年後見制度 利用者本位の見直しを

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 認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人の財産や権利を守る成年後見制度の利用促進を図る法律が今国会で成立する。認知症の人の急増に対応するため、担い手の少ない後見人を増やすことが狙いだが、現行制度は問題が多すぎる。利用促進の前に抜本的な見直しが必要だ。

 議員立法で国会に提出された法案は二つある。新法の「成年後見制度の利用促進法案」は首相をトップとする利用促進会議を内閣府に設置し、後見人育成や財政支援を図る。

 もう一つは、民法などを改正して後見人の権限を広げるものだ。被後見人宛ての郵便物の開封、死亡後の埋葬の契約など現行制度では認められていないことが可能になる。

 2012年に462万人だった認知症高齢者は25年には700万人になると推計されており、悪質商法や財産搾取などの被害を防ぐための手立てを早急に講じる必要がある。後見人の担い手不足を解消し、制度を使いやすくすることが超党派の国会議員の間で検討されてきた。

 現行制度では「後見」「保佐」「補助」の3類型があり、その担い手は家庭裁判所が選任する。被後見人がひとりでできる行為を最も厳しく制限する「後見」が8割を占めている。この権利制限に関しては、わが国も批准した国連障害者権利条約に抵触することが指摘されている。今回の利用促進法案では、より権利制限の少ない「保佐」や「補助」の利用を促す方策が盛り込まれている。

 また、後見制度の利用者に関しては医師や介護福祉士などの国家資格が得られず、公務員にもなれないなどの「欠格条項」が多数ある。地方公務員として働いていた障害者が後見制度を利用したために雇用が継続できず、失業した例もある。この欠格条項の撤廃に向けた取り組みが進むことが期待されている。

 ただ、弁護士や司法書士など専門職を後見人にすると、少なくとも月2万〜3万円の報酬を被後見人が払い続けなければならず、財産保護の必要性がなくなっても簡単には契約を解除できないなどの問題は残る。

 後見人による財産の流用などの不正も後を絶たず、年間700人以上の後見人が選任を取り消されている。監督する立場の家庭裁判所は業務量が過重で十分にチェック機能を果たせておらず、発覚した不正は氷山の一角と指摘されている。

 こうした問題を放置したまま利用を促進することは弊害が大きい。財産管理だけでなく、被後見人の意思を尊重し、本人が望む生活を実現することが制度の本来の目的である。

 内閣府に設置する利用促進会議で現行制度の問題点を総ざらいし、抜本改正につなげることが必要だ。

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