長年の議論を経て導入された医療事故調査制度が、想定したような役割を果たせていない。医療機関からの死亡事故の届け出は見込みの3分の1以下にとどまり、遺族側が調査を求めても病院側が応じなかったケースもある。制度が浸透しないと事実解明の透明化が進まず、医療の信頼性向上や再発防止にもつながらない。
「死」が身近にある病院や診療所で、どこまでを死亡事故として届け出て調査すべきか。この問題は制度設計の最初の段階から、限定的であるべきだとする医療者側と、幅広い調査を求める患者・被害者側との間で、激しく議論されてきた。
改正された医療法で定義されたのは「医療に起因すると疑われる死亡で(院長ら)管理者が予期しなかったもの」。だが「予期しなかった」の範囲がはっきりしないため、医療機関の拡大解釈が広まっているとみられる。制度を運用する日本医療安全調査機構は「遺族との紛争を避けるために届け出をしていないケースもあるのでは」と指摘する。
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