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余録

「臘子鳥が天を覆って、西南より東北に飛んだ」…

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 「臘子鳥(あとり)が天を覆って、西南より東北に飛んだ」と日本書紀の天武7年12月(679年1月)にある。アトリとはスズメ目の冬鳥、これが日本で地震の被害を伝える最古の記録の書き出しという▲そこには「地面が広さ二丈(1丈は約3メートル)、長さ三千余丈にわたって裂け、どの村も多数の民家が崩壊した」とある。この筑紫(つくし)地震は今の福岡県久留米市東部を走る水縄(みのう)断層帯が動いたものと見られている(寒川(さんがわ)旭(あきら)著「歴史から探る21世紀の巨大地震」朝日新書)▲そこから約60キロ南、ちょうど布田川(ふたがわ)、日奈久(ひなぐ)両断層帯が交わるあたりで起きた今度の熊本地震だった。熊本県で震度7を観測したマグニチュード(M)6・5の本震だが、それに近い震度のものも含む余震が頻発しているのは、付近の複雑な地下の構造が原因らしい▲亡くなった方の大半は家屋の下敷きになったためだった。くり返される余震の中、壊れた家で救助を待った人の恐怖、避難した人々の不安はいかばかりだったろう。止まらぬ揺れの中での救いは、倒壊した家から8カ月の赤ちゃんが無事助け出されたニュースだった▲今後も1週間ほど震度6弱の余震が起こる恐れがあるとの気象庁の見通しである。精神的にも追い詰められる被災者にはどこまでも非情な地下の力学だが、そこは人の側の周到な心配りと連携で何とかしのいでもらいたい▲数十万年前以降に動いた活断層なら至るところにある日本列島だ。人の記録のある1300年間など、地下の岩盤を動かす力にとって一瞬にすぎない。改めて心に刻みたい列島住民相互の連帯と、いつどこでも起こりうる震度7への心構えだ。

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