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社説

日露交渉 首相訪露で動かせるか

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 岸田文雄外相が、来日したロシアのラブロフ外相と会談し、安倍晋三首相の5月訪露に向けて最終調整を進めていくことで一致した。

 長く停滞していた日露平和条約の締結交渉を重要課題の一つと考える安倍首相は、2013年4月にロシアを公式訪問し、プーチン大統領の訪日を招請した。しかし、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入して以降、日本は米欧と連帯して対露制裁に加わった。ロシア側が期待する日露間の経済協力の進展は行き詰まり、プーチン氏訪日のめどは立っていない。

 それでも、ロシア側で領土問題について決断できるのは最高権力者のプーチン氏だけというのが現実である。安倍首相はそう考えて、あえて自ら再び訪露し、直接交渉に乗り出そうとしているのだろう。

 外相会談では領土問題をめぐる日露間の隔たりが改めて示された。

 日本は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の北方四島は、第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和条約で放棄した千島列島には含まれない「固有の領土」であると主張してきた。これに対しラブロフ外相は、会談後の記者会見で「日本が第二次世界大戦の結果を確認しないといけない」と述べ、ロシアが四島を実効支配していることの合法性をまず日本側が認めるよう改めて主張した。

 ラブロフ氏はまた「平和条約締結後に歯舞、色丹を日本に引き渡す」と定めた1956年の日ソ共同宣言に言及し、「そこにはどのような順序でどのような行動を取るかが定められている」と述べた。領土問題の解決を、平和条約の締結後に先延ばしする可能性を示唆したとも解釈できる。しかし、この論理はとても受け入れられない。過去の平和条約交渉は、四島の帰属を確認することを前提としてきた。

 日露の交渉は、双方が受け入れ可能な解決策を探るためにある。だがそれが米欧との結束を揺るがせてはならない。ロシアにはウクライナ問題などで対立する米欧と日本の連携を崩そうという思惑も感じられる。

 米国は日本に対露接近への懸念を伝えてきたとされる。このため安倍首相はオバマ米大統領に日本の立場を説明して理解を求めた。また、米欧が支援するウクライナのポロシェンコ大統領を日本に招いて支援継続を約束した。日本にこうした慎重な「バランス外交」が求められていることも忘れてはならない。

 安倍首相の訪露が北方領土問題の進展につながるかどうか、現時点で楽観はできない。日本がロシアに取り込まれたかのような印象を与えないように配慮しつつ、首脳会談に臨むべきだろう。

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