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社説

薬物依存症 治療体制の整備を急げ

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 薬物の依存症は本人の健康を害するばかりか、仕事を奪い、家庭を破綻させる。社会の経済的な損失も計り知れない。

 元プロ野球選手、清原和博被告の覚醒剤事件を見ても分かるように、依存症は治療が必要な「病気」だ。

 2016年度の診療報酬改定で、薬物依存症の専門治療に診療報酬が初めて認められた。これを機に、治療体制の拡充を図りたい。

 厚生労働省によると、14年に医療機関を受診した薬物依存症患者は約3000人に上る。これは氷山の一角で、受診していない人が相当数いるとみられる。

 課題の一つが依存症の治療をする医療機関が足りないことだ。依存症の治療は手間がかかり、積極的に行うところが少ない。

 薬物依存の危険性や、再使用の欲求を断ち切る方法を外来診療で学ぶ治療プログラム「認知行動療法」は効果があるといわれる。しかし、依存症患者を対象にこの治療を行う一般医療機関は全国で20カ所余りにとどまっている。

 厚労省は14年度から全国5カ所の医療機関について、地域の医療機関への支援などを行う拠点として整備を進めている。支援の実績を積み上げ、他の医療機関との連携を深めてほしい。

 地域での対策を担う拠点の一つが、都道府県・政令市に69カ所ある精神保健福祉センターだ。患者の相談に応じ、支援する役割を担う。

 厚労省は昨年度から、センターに対し、認知行動療法を実施するための助成を行い、普及を図ることにしている。

 だが、助成の申請をする自治体はまだ少ない。活用を促す工夫がさらに必要だ。

 精神保健福祉センターには、依存症でありながら受診していない人の窓口となり、医療機関や自助団体へつなぐ役割もある。しかし十分に機能しているとは言い難い。

 本人に依存症の自覚がないことも多い。家族からの相談を受けやすい体制づくりや啓発活動にもっと力を入れてほしい。

 覚醒剤など薬物犯罪の場合は再犯のおそれが高い。受刑者の刑期を一部猶予し、社会で早く専門的な治療を受けて更生につなげる司法制度が6月から始まる。

 この制度で出所する薬物依存者は年間約3000人に上るとみられている。こうした人を確実に治療につなげる体制を整えることも法務省と厚労省の責務だ。

 依存症は個人の問題というだけでなく、患者が減って社会復帰できれば、社会にもプラスだという認識を広げたい。

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