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平松 洋子・評『谷崎潤一郎文学の着物を見る』大野らふ 中村圭子/編著

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谷崎文学の女性たちが妖しく艶やかに立ち上がる

◆『谷崎潤一郎文学の着物を見る』大野らふ 中村圭子/編著(河出書房新社/税抜き1900円)

 着物のおしゃれは組み合わせの妙にある。その要諦を圧倒的な迫力とともに教わったのは、当代随一の着物コレクター、池田重子のコレクションによる「日本のおしゃれ展」を観たときだった。初めて足を運んだのは二十年ほど前、伊勢丹美術館だったと記憶している。

 池田さんは大正十四年生まれ、昨年逝去したが、生涯を通じての信条は、「着物は豪華でなくとも優美でありたい、立派でなくとも洒落(しやれ)たものでありたい」。つまり、豪華で立派なだけなら、着物はかたなし。半衿(はんえり)、帯、帯締め、帯揚げ、帯留めなど小物との合わせ方によって無限大の世界を提示するところに、着物の深淵と凄(すご)みがある。

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