海女(あま)漁の盛んな三重県鳥羽市の相差(おうさつ)地区。ウエットスーツで海に素潜りした中村佐百合(さゆり)さん(64)はアラメという海藻の森をかき分け、岩場に張り付くアワビを見つけた。地元で生まれ育ち、20歳で嫁いでから40年以上も海女を続ける。ノミを差し入れてアワビをつかみ、一気に浮上する。海面に「ピュー」と音が響いた。海女が呼吸を整える時に出す「磯笛」という独特の息の音だ。
アワビやイセエビ、塩にカツオ節−−。伊勢志摩は、古代から天皇に食材を献上する「御食(みけ)つ国」として知られた。志摩半島の沖は、伊勢湾に流れ込む川がもたらす山の栄養分と、多くの生き物が集まる黒潮が出合う豊かな漁場。素潜り漁は数千年の歴史があると言われ、アラメやワカメなどの海藻がよく育つ藻場(もば)で成長したアワビは、伊勢神宮にも奉納されてきた。
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