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介護のとき

2 ネット通じ、いつでも見守り

電動車椅子に乗る妻の和子さんを見守る小梅弥一さん(右)=横浜市都筑区の「グッドタイム リビング 横浜都筑」で、西田真季子撮影
自作のシステムを使いスマホやパソコンで母親の様子を確認する中崎伸江さん=長野県で、柴沼均撮影

 「お前は何もしてくれない」。電話の向こうの母はぐちっぽく繰り返す。何が不満なのだろう。聞きだそうとすると怒り出す。なだめつつ、なんとも切ない気持ちになる。

     長野県のフリーライター、中崎伸江さん(53)=仮名=は近くに住む認知症の母(80)を介護している。母は勝ち気な性格で昔から、娘に対してきつい言い方をする。数十メートル離れた婚家に住む中崎さんは、時折実家に通いながら見守っていた。

     認知症と診断されたのは3年前。買い物をして食事を作ることはでき、医師やケアマネジャーは「1人暮らしは十分できます」という。だが症状が進み、身支度が間に合わないためデイケア施設に通えなくなってきた。

     家の中で人知れず倒れてはいないだろうか−−。中崎さんはたびたび不安に襲われた。仕事や家庭があるためひんぱんに見に行くことはできない。何度も電話をかけると疎まれる。夫のアドバイスもあって思いついたのが、カメラとパソコンを使った見守りだ。

     ●声かけで症状改善

     今年1月、母が多くの時間を過ごす居間に2万円弱のネットワークカメラを設置した。母の自宅に月額1000円でネット回線をひき、撮影した映像を中崎さんのスマホやパソコンで、リアルタイムで見られるようにした。

     テレビを見ている様子も、何を食べているかもわかる。中崎さんは様子を見ながら毎朝「おはよう」と電話をかけ、手がすけば映像を確認する。母が深夜までテレビの前にいると「次の日は寝坊するかも」と予測でき、生活リズムに合わせた見守りができる。

     娘のタイミングよい声かけと手伝いで、母はデイケア施設に毎回通えるようになった。4月中旬には施設の仲間たちと花見に出かけた。「すっごくよかった」。電話の向こうの声ははずんでいた。あまり口にしなかった「ありがとう」の言葉も、かけてくれるようになった。

     「そろそろ施設入居を考えたら、とケアマネジャーから言われていたけれど、『カメラでの見守りが順調なので、様子をみましょう』と変わってきました」。1人暮らしの好きな母が今の生活を続けられそうで、中崎さんはほっとしている。

     ●ベッドが車椅子に

     見た目はベッド。ボタンを押せば形が変わり、電動車椅子に変身。そんな介護ロボットが開発され、施設で活用が始まった。

     横浜市の有料老人ホーム「グッドタイム リビング 横浜都筑」で暮らす小梅和子さん(89)は、自分で身を起こすことができず、話すこともままならない。体が衰え始めた10年前は、掃除や調理をこなし、夫の弥一さん(88)と手をつないで歩くこともできた。だが認知症が進んで要介護度も5となり寝たきりに。移動や散歩のため車椅子に乗せようとすると怖がって暴れる。そんな時に導入されたのがベッド兼車椅子となる、パナソニックの介護ロボットだった。

     「ちょっと起こしますね」。声をかけられると、和子さんは「あー」とうれしそうに声を上げる。枕に頭をおいたまま横たわっていると、徐々に背中が持ち上がって車椅子になる。にこにこする和子さんを見守る弥一さん。「手足をベッドの手すりにぶつけたり、いすから落ちたりしないので安心です」

     職員の吉村未央さん(28)は「和子さんは無理のない姿勢で、介護する方も腰痛が和らぎ、お互い楽になります」という。

     ●機器開発、国が支援

     介護ロボットは人手不足の業界を救い、産業振興につなげようと国が推進している。政府が昨年策定した「ロボット新戦略」でも介護分野の活用がうたわれ、現場ニーズの強い▽ベッドからの移し替え▽歩行支援▽認知症の人の見守り−−などの機器開発が盛り込まれた。

     経済産業省は2013年から「ロボット介護機器導入実証事業」を始め、参加企業を募った。パナソニックの介護ロボットは国の補助を受け、全国50施設で導入されている。課題は100万円という高額な価格。パナソニックは機能を改良したうえで値段を半額にして、年末にも新型の販売開始をめざすという。施設はもちろん、在宅での利用も視野に入れる。

     弥一さんは、妻の車椅子に付き添い1日3回ほど、館内を散歩する。「元気なころは日本中をあちこち二人で回りました。九州に行った時の思い出話をしたりね」。もう夫の語りかけには答えられない和子さんだが、穏やかな表情から、話の中身は理解していると弥一さんは感じる。介護ロボットは、二人の大切な時間を確保してくれた。=つづく

    ロボットの支援「受ける」78%

     人間に介護されるより、ロボットに面倒をみてもらうほうが気が楽−−?

     高齢者向け住宅の整備や生活支援サービスをするオリックス・リビングが昨年9月、40代以上の男女1238人にインターネット上で調査をした。「自分が介護される立場になった場合、介護ロボットの介護を受けたいか」という質問に、78%が「積極的に受けたい」「受けてもよい」と答えた。「受けてもよい」と答えた人の79%が、「気を使わない」ことを理由に挙げた。

     介護ロボット市場の課題として同社は、作り手の発想が優先され、現場のニーズにあわないケースがあると指摘。今後は、人とロボットの業務が明確化され、ロボットが補助的役割を果たすようになるとみている。

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