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沼野充義・評 『殉教者』=加賀乙彦・著

 (講談社・1998円)

知られざる不屈の信仰再現

 一六一五年、長崎半島の南の港から、密(ひそ)かに沖に漕(こ)ぎ出した船があった。乗り込んでいた乗客は二人。一人は「南蛮人」のイエズス会士。もう一人は日本人の青年。これが本書の主人公、ペトロ岐部(きべ)カスイである。キリシタンの迫害が激しくなった日本を逃れ、マニラを目指しての船出だった。岐部はその後一五年もの間、国外にあって、マカオ、ゴアから、聖地エルサレム、ローマへと壮大な旅の大部分を文字通り踏破し、誓願を立てたイエズス会士となって一六三〇年、死を覚悟で日本に潜入して宣教につとめたが密告のため捕らえられ、残酷な拷問の果てに一六三九年、殉教した。

 本書は、並々ならぬ健脚の旅人にして不屈の信仰の人、岐部の生涯を描いた長編である。著者の加賀氏は自ら…

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