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社説

1億総活躍プラン 実現への確証はあるか

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 政府は1億総活躍社会のプランを発表した。非正規労働者の待遇改善、長時間労働の是正、保育士や介護士の賃上げなどが並ぶ。これまで社会保障政策は高齢層に偏っており、若年層に焦点を当てた包括的な改革案の方向性は評価できる。

     このまま人口減少が続くと2100年に日本の人口は5000万人を切るとの推計があり、政府の強い危機感を表した内容と言える。ただ、どのように実現するのか、十分な根拠が示されているとは言い難い。

     プランは同一労働同一賃金の実現を最重視する。日本の非正規社員の賃金は正社員の6割程度に据え置かれており、諸外国並みの8割程度に引き上げることを目指す。労働契約法など関係法令を改正し、「不合理な待遇差」を是正するため司法判断の根拠になり得る基準を定めるという。企業が行政指導に従わない場合、非正規社員が訴訟で解決する方法を後押しすることで、企業側の取り組みを促すことを意味する。

     ただ、異なる業種ごとに労使双方が納得できる基準を設定するのは複雑な作業が必要だ。経営者側が人件費増を避けようとして、正社員の賃金を下げたり、非正規社員を増やしたりして対応すれば、低水準の同一賃金になる可能性もある。

     保育士は17年度から月給を2%(約6000円)引き上げた上、ベテランの給与を最高月4万円程度上げるという。保育士の給与は全産業平均より11万円も低く、この程度の賃上げで質の高い保育士が十分に確保できるとは思えない。

     プランに盛り込まれた保育士や介護士の待遇改善には約2000億円が必要だが、アベノミクスによる税収増を充てるとされているだけで、恒久財源のめどが立っているわけではない。もともと10%の消費増税に伴って子育て支援策には1兆1000億円が投入される予定だったが、いまだに7000億円しか確保の見込みがないのだ。

     1億総活躍は(1)国内総生産(GDP)600兆円(2)希望出生率1・8(3)介護離職ゼロ−−という「新三本の矢」を実現する包括的政策だ。所得格差を是正する「分配」と経済成長の好循環を目指す方向性は間違っていない。

     放課後児童クラブについて18年度末までに30万人分を追加整備すること、不登校の子供たちに原則無料の学習支援を行う「地域未来塾」を19年度までに5000カ所へと拡充することなども盛り込まれた。子供や若い親の支援はさらに手厚くしないといけない。

     選挙対策のための「絵に描いた餅」との批判を受けないためにも、政府は実現可能性を裏づける根拠をもっと掘り下げて提示すべきだ。

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