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社説

沖縄米軍属逮捕 県民の怒りに向き合え

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 なぜ沖縄で米軍絡みの凶悪な犯罪が繰り返されるのか。米軍属の男が女性会社員の遺体を遺棄した事件に、沖縄の人は怒りを募らせている。

     被害者の20歳の女性は結婚を前提にした交際相手がいたという。将来ある若者に対する卑劣な行為だ。逮捕された男は女性の殺害もほのめかしているという。

     日本政府は米政府に強く抗議し、綱紀粛正を求めた。安倍晋三首相も「非常に強い憤りを覚える」と語った。まずは事件の全容を把握し、動機や背景を解明する必要がある。

     沖縄の面積は、全国のわずか0・6%だ。そこに在日米軍専用施設の74%が集中する。沖縄県の面積に占める割合は10%。沖縄米軍基地の整理・縮小計画を決定した20年前に比べても減少率は1ポイントに届かない。

     1995年の米兵3人による沖縄少女暴行事件は、反基地運動に火を付け、日米同盟を揺るがした。だが、再発防止や綱紀粛正を唱えるものの、凶悪事件はなくならず、昨年も沖縄では3件の強盗事件が起きた。

     過重な米軍基地負担と、後を絶たない米軍関係者の犯罪は、沖縄の人たちに重くのしかかり、不公平感をかきたてさせずにはおかない。

     日本政府は、沖縄の不安や怒りがいかに深いかを米国に訴えるべきだ。そのうえで、安倍政権は沖縄の基地負担軽減に一層、取り組む必要がある。

     政府や自民党は、6月の沖縄県議選や今夏の参院選を前に米軍普天間飛行場移設問題への影響を懸念している。だが、基地問題という本質に向き合わなければ沖縄の怒りが収まることはない。

     綱紀粛正も効果がないままでは、反基地感情は増幅するばかりだ。沖縄県民や議会は、再発防止の仕組み作りや、米軍人・軍属らの事件・事故の扱いを定めた日米地位協定の改定を求めている。

     今回は公務外の犯罪で日本側が逮捕しており、地位協定の制約に伴う支障は出ていない。しかし、米軍が拘束していた場合でも要請できる起訴前の身柄引き渡しには、強制力はなく、米側が拒否した例もある。

     こうした裁判権の改定は抑止効果があるとして労働組合や弁護士団体が求めてきた経緯がある。犯罪抑止の観点から議論を促したい。

     来週の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、日米首脳会談も予定されている。基地の整理・縮小や犯罪の防止など米軍基地問題で真剣な意見交換をする好機だ。

     2000年の九州・沖縄サミットの際、クリントン米大統領は「よき隣人としての責任を果たす」と約束した。残念ながら、そのことばはいま、空虚に響く。

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