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社説

沖縄元米兵事件 怒りの本質見つめたい

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 沖縄で繰り返される米軍絡みの凶悪な犯罪に、綱紀粛正の徹底だけではもう対処できないのではないか。

     沖縄県うるま市の女性会社員の遺体を遺棄したとして、元米海兵隊員で米軍嘉手納基地で働く米軍属の男が逮捕された事件を受け、安倍晋三首相は、翁長雄志(おながたけし)知事と会談した。

     翁長氏は「米軍基地があるがゆえの犯罪だ。オバマ大統領に直接話をさせてほしい」と述べ、日米地位協定の見直しを含む抜本的対策を求めた。首相は、日米両政府が再発防止に全力をあげる方針を示し、今週のオバマ大統領との首脳会談で厳正な対処を求めると説明したという。

     再発防止策を強化するのは当然のことだ。だが、米軍人らの事件が起きるたび同様の対応がとられてきたのに、事件は一向にやまない。

     沖縄の怒りは激しく「すべての基地の撤去」を求める声も出ている。

     嘉手納基地の前では抗議集会が開かれ、6月には県民大会も予定されている。1995年に沖縄で起きた少女暴行事件で反基地運動が高まり、翌年の普天間返還合意につながったことをほうふつとさせる。

     問われているのは、今回の事件だけにとどまらない。

     復帰から44年たってなお、沖縄に過重な基地負担が押しつけられ、住民は基地があるがゆえの不安を感じている。そういう重荷を本土は共有しようとせず、沖縄だけが背負わされ続けている。この不公平で理不尽な状況をどう解決すればいいのか。それが問題の本質ではないか。

     解決のためには、まず基地を縮小することが不可欠だ。とりわけ基地負担の象徴である普天間飛行場の一日も早い返還を実現する必要がある。ただ、それは、県民の多くが拒否する基地の県内たらい回しであってはならない。現在の辺野古への移設計画は見直すべきだ。

     もう一つは、日米地位協定の改定に向けて、日米両政府で議論を始めるべきではないか。

     今回の事件は、男の公務外で起き、県警が身柄を拘束したため、地位協定は障害にならなかった。ただ、もし米軍が先に身柄を拘束していたら、引き渡しを拒否されたり、時間がかかったりした可能性もある。

     事件が絶えない背景として、米軍人や軍属の間に、いざとなれば基地に逃げ込めば地位協定に守られる、という甘えがあるのではないか、と疑わざるを得ない。

     公務外の犯罪で、米側が先に身柄を拘束した場合でも、起訴前に日本側が身柄拘束できるよう、運用改善でなく明文化すれば、犯罪の抑止効果も期待できる。

     形だけの再発防止策の強化ではなく、抜本策に踏み込むべきだ。

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