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平松 洋子・評『ではまた、あの世で 回想の水木しげる』大泉実成・著

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不在が「存在」を強く感じさせる どこかなつかしいひと

◆『ではまた、あの世で 回想の水木しげる』大泉実成・著(洋泉社/税抜き1500円)

 会ったこともないのに、とてもなつかしいひとがいる。私にとって、水木しげるはそのうちのひとりだ。

 水木しげるのことを思い浮かべるだけで、ほわほわと幸福な気持ちになり、得もいわれぬ開放感、安心感に包まれる。そして、これはとても不思議なことなのだけれど、昨年11月、「あの世」に旅立たれたのち、いっそう水木しげるという存在を近しく、かつ親しく感じるようになった。説明のつかない感情なのだが、さすがは水木しげる、と思うことにしている。

 そんなわけで、書店で本書を目にしたとき、思わず吸い寄せられた。著者は大泉実成(みつなり)。みずから「水木原理主義者」を名乗り、妖怪探検のパートナーとして、70代のご本人と世界各地を何度も旅した経験をもつノンフィクション作家である。

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