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社説

米国とベトナム 南シナ海安定に寄与を

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 ベトナム戦争終結から41年を経て米国とベトナムの関係が新たな段階に入った。

     ハノイを訪問したオバマ米大統領は、ベトナムへの武器禁輸措置の完全解除を表明した。ベトナムが求めてきたもので、共同記者会見に臨んだ両国首脳は「関係の完全正常化」を示すと評価した。

     オバマ氏は市民2000人を前にした講演で「戦争は苦痛と悲劇をもたらす」とベトナム戦争に触れ、未来志向の協力を強調した。謝罪の言葉はなかったが、米軍が散布した枯れ葉剤による土壌汚染の除去に対する支援を続けることを約束した。

     米国は、ベトナムの人権状況を問題視して武器禁輸の完全解除には応じていなかった。方針転換の狙いは南シナ海で軍事的な影響力を増大させる中国をけん制することだ。

     オバマ氏は今回、ベトナムへの警備艇の提供なども約束した。南シナ海をにらむ軍事要衝であるカムラン湾への米軍艦船の寄港を進めることも念頭に置いているようだ。

     外国軍艦船に開放されたカムラン湾に、今春から海上自衛隊の護衛艦を寄港させている日本の動きも米国に同調するものだ。

     ベトナム側にも、米国や日本との関係を強化したいという意図がうかがえる。日米が主導する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加も一例だろう。

     ただ、軍事・経済両面での日米への接近は、必ずしも中国離れを意味するわけではない。

     中国とベトナムの関係は一昨年、西沙諸島付近で中国が石油掘削を行ったことで一時険悪になった。

     それでも昨年は、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と中国の習近平国家主席という両国の最高指導者が相互訪問している。北京で開かれた「抗日戦争勝利70周年」の式典には、ベトナムから当時の国家主席が出席した。

     一方で北京での式典の半月後にはチョン書記長が訪日し、安倍晋三首相との首脳会談後に南シナ海での埋め立てに「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表した。

     ベトナムは、冷戦終結後に疎遠となっていたロシアとの軍事協力も再開している。潜水艦6隻をロシアから購入し、最近もロシア軍艦船をカムラン湾に寄港させた。

     ベトナム外交はしたたかだ。世界第2位の経済大国である中国と適切な関係を維持しつつ、南シナ海の問題に多くの国を関与させることで中国の圧力を緩和しようとしている。

     中国の反応は今のところ落ち着いたものだ。米国とベトナムの関係強化が地域情勢の安定化に寄与するよう望みたい。

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