メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

『花が咲くとき』 著者・乾ルカさん

乾ルカさん

 (祥伝社・1728円)

 1980年、札幌から始まった小学6年生の少年と正体不明の老人の道行きが、思いもよらない展開を見せる。『あの日にかえりたい』『メグル』などファンタジー要素が入る作品の多い著者が、一瞬、ファンタジーかと思わせて、実はその要素のない初の長編小説に挑んだ。

 瀬川大介は人の感情や気配の色が見える。学校では息を潜め、憂さ晴らしに隣人の老人、佐藤北海の庭にある木の花芽をナイフでそぎ取っている。北海は一人暮らしで、近所づきあいもしない謎の人物だ。夏休みに入り、両親に叱られた腹いせに家出を決意。北海が外出した後をこっそり追い、期せずして二人の長い旅が始まる。

 幼い頃、なにをやっているかわからない寡黙な高齢者が近所にいた経験を持つ人は多いのではないだろうか。著者もそうした記憶のある一人。編集者との打ち合わせで、そんな高齢者の中には元軍人もいたことを教えられた。そこでふと、母方の叔父がシベリア抑留の経験者だったことを思い出す。「叔父は亡くなるまで収容所のことは話したがらず、編み物を教わったとかいいことしか口にしなかったそうです。苦労した部分は語れない、語…

この記事は有料記事です。

残り464文字(全文950文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. “アベノマスク”大きくなった? 記者の質問に首相は…

  2. 療養ホテル確保数「ゼロ」の沖縄に不快感 菅氏「何回となく促した」

  3. ORICON NEWS 香取慎吾「こんなにテレビ出れないか」独立から3年のホンネ 草なぎの大河出演にガッツポーズ

  4. 国内の感染者、4万人超える 東京で新たに258人 大都市中心に拡大続く

  5. 愛知の新規感染者125人 7日連続で100人超

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです