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『花が咲くとき』 著者・乾ルカさん

乾ルカさん

 (祥伝社・1728円)

 1980年、札幌から始まった小学6年生の少年と正体不明の老人の道行きが、思いもよらない展開を見せる。『あの日にかえりたい』『メグル』などファンタジー要素が入る作品の多い著者が、一瞬、ファンタジーかと思わせて、実はその要素のない初の長編小説に挑んだ。

 瀬川大介は人の感情や気配の色が見える。学校では息を潜め、憂さ晴らしに隣人の老人、佐藤北海の庭にある木の花芽をナイフでそぎ取っている。北海は一人暮らしで、近所づきあいもしない謎の人物だ。夏休みに入り、両親に叱られた腹いせに家出を決意。北海が外出した後をこっそり追い、期せずして二人の長い旅が始まる。

 幼い頃、なにをやっているかわからない寡黙な高齢者が近所にいた経験を持つ人は多いのではないだろうか。著者もそうした記憶のある一人。編集者との打ち合わせで、そんな高齢者の中には元軍人もいたことを教えられた。そこでふと、母方の叔父がシベリア抑留の経験者だったことを思い出す。「叔父は亡くなるまで収容所のことは話したがらず、編み物を教わったとかいいことしか口にしなかったそうです。苦労した部分は語れない、語…

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