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社説

出生率1.46 さらなる子育て支援を

 2015年の合計特殊出生率が前年からわずかに上がり、1・46となった。

     1人の女性が一生に産む子供の数を示すもので、人口維持に必要な「2・07」や、安倍政権の「希望出生率1・8」にはほど遠いが、1990年代半ばの水準まで回復した。

     景気回復で若い世代の雇用条件が良くなったことや自治体の子育て対策の拡充が影響したと見られる。

     ただ、今後も現役世代の女性の数が減っていくため、出生率が上がっても、生まれてくる子供の数は容易には増えない。さらに官民を挙げた少子化対策が必要だ。

     年齢別では11年から減少が続いていた25〜29歳の出生率が上昇したほか、30歳以上の各年代も上昇。最も増加幅が大きいのは30〜34歳だ。

     サービス業や福祉などは人手不足となっており、若年世代の賃金アップが出生率の改善につながっていると指摘される。政府が取り組んできた最低賃金の引き上げ、非正規雇用の待遇改善なども影響している可能性がある。

     出生率の高い都道府県は(1)沖縄(1・94)(2)島根(1・80)(3)宮崎(1・72)(4)鳥取(1・69)。子育て支援を重視する政策を実施している自治体で出生率が上がっている傾向が見られる。

     島根県は乳幼児医療費や保育料の軽減、若年世代の移住対策に力を入れてきた。鳥取県も子供を多く抱える世帯の保育料無料化、小児医療や不妊治療の助成の拡大など経済的負担の軽減に努めている。

     一方、第1子出産時の母親の平均年齢は前年より0・1歳上がり、30・7歳で過去最高を更新した。婚姻件数は63万5096組で前年より8653組も減り、戦後最少となった。結婚しない人が増え、晩産化が進む傾向をどう変えていくかが相変わらずの課題だ。

     東京の出生率は1・17で、全国で最も低い。首都圏や関西圏など人口の多い自治体の出生率の改善は急務だ。こうした自治体は待機児童の多い地域でもある。安心して子供を産むことができるよう、保育所の拡充など子育て環境をさらに整えていくべきである。

     企業の取り組みも重要だ。女性社員が出産しても安心して働き続けられるよう雇用慣行を変えなければならない。男性社員の育児休暇の取得率は著しく低い。長時間労働を解消し、夫婦で育児を担えるようにしてほしい。

     出生率の改善は人口減少に歯止めを掛け、年金の持続可能性を高めるなど、長期的な課題に大きな影響を及ぼす。すべての世代に関わる問題であり、さらに取り組みを強化していく必要がある。

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