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SUNDAY LIBRARY

小林 聡美・評『東京随筆』『東京いつもの喫茶店』

◆『東京随筆』赤瀬川原平・著(毎日新聞社/税抜き1800円)

◆『東京いつもの喫茶店』泉麻人・著(平凡社/税抜き1500円)

 フィンランドから日本に里帰りしている友人は、やたらと歩く。宿泊している世田谷の代沢から渋谷まで(約3キロ)は屁の河童(かつ ぱ)、南池袋から代沢まで(約10キロ)徒歩で帰ったという話には、さすがに絶句した。彼女が腕につけている健康メーターによると、一日2万歩はざらで、一日の消費カロリーも2000キロカロリー超えだったりする。私の経験だと、仮に1万歩歩いたとしても、消費カロリーは200キロカロリーそこそこ。2000キロカロリーを消費するのに、いったい彼女はどんな猛烈な活動をしているのか。ちなみに彼女の仕事は文系である。決してガテン系ではない。とにかく、そんな歩行モンスターな友人が日本に滞在している間、私にも歩け歩けブームが到来。さすがに一日2万歩は無理だけど、家を早めに出て目的地より少し手前の駅で降りたり、知らない通りを選んで歩いてみたり、東京の町をいつもとは違った目線でさすらう時間を作っている。

 そんな歩け歩けブームを後押ししたのは『東京随筆』(赤瀬川原平)。新聞の連載だったというこれらの文章は、一節がまことに短い。町を訪れた著者の驚きや感慨が、凝縮されているようないないような、つまり気負った感じでなく、まさに実感の叙述が、大人の散策だなぁ、と思う。限りなく東のはずれとはいえ東京生まれ東京育ちの私は、その情景がありありと浮かんでずんずん進める町もあれば、うすらぼんやりで迷子になる町もある…

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